ち‐でんりゅう〔‐デンリウ〕【地電流】
地電流
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/08 21:17 UTC 版)
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地電流(ちでんりゅう、earth current、telluric current)とは、地球内部を流れる電流。
地電流には、自然が原因となって流れるもの、人為的要因によるものなどさまざまなものがあるが、一番の要因は、地磁気の変動に伴う電磁誘導である。太陽の活動の影響で電離層や磁気圏に電流が流れると、地磁気が変動し、それによって電流が誘導されるのである。また、雷によっても地電流が作られる。
主に地球表面の地殻やマントルで観測される。クラスノゴルスカヤ、レミゾフおよびバンヤンの1975年の調査によると、1m離れた2つの地点間の電位差は0.2V~1,000Vで、北半球全体では12時間あたり100~1,000Aだろうと推測されている。この電位差は地面と雷雲の間に雷による電流を流す(雷による放電を発生させる)のには十分な量である。
地電流を利用した電源も研究されている。地面に電極を置く場合は地球バッテリー(Earth battery)、海に電極を置く場合は海バッテリー(Sea battery)と呼ばれ、19世紀には実際に電気設備の電源として利用することに成功している。地球磁場の磁力線または経線に沿って、異なる2種類の導体を南北に置くと電流が流れるという仕組みで、発電機などを必要としない自然の電源として利用することができる。しかし、地域差が大きいことや取り出すことができる電気の量が小さいことから、一般的には普及していない。
地電流は、断層や火山などの地下構造を探査するのに用いられることがある。1930年代より、地震と地電流には密接な関係があるとの説に基づき、さまざまなモデルが提唱された[1][2]。
脚注
- ^ 永田武「地電流の測定に關する一二の試み」『地震 第1輯』第8巻第9号、日本地震学会、1936年、 447-456頁、 doi:10.14834/zisin1929.8.447、 ISSN 0037-1114、 NAID 130003845500。
- ^ Ondo, Tadanori. "Seismo-ionospheric effects." title International Workshop on Seismo Electromagnetics Abstracts International Workshop on Seismo Electromagnetics Abstracts. 1997.[出典無効] 論文取り下げにより無効
参考文献
- Krasnogorska, N. V., and Remizov, V. P., "Pulsations of the earth's electric field", Physico-mathematical and biological problems of effects of electromagnetic fields and ionization of air, Moscow, Nauka, pp. 49-56, 1975(Russian).
- Vanjan, L. P., "On the magnetospheric-ionospheric components of atmospheric electric field", Physico-mathematical and biological problems of electromagnetic field effects and air ionization. Proceedings of the All-Soviet Scientific Symposium, November 25-27, Yalta, Moscow, Nauka, Vol. 1, pp. 48-49, 1975. (Russian)
外部リンク
- 柳原一夫「地電流の地方異常と大地比抵抗」『地磁気観測所要報』第12巻第1号、地磁気観測所、1965年3月、 105-113頁、 ISSN 13425706、 NAID 40018035799。
地電流
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地電流を対象とするものでは、2地点間の地電位差を扱ったものが多い。なお、地中に電極を置くことは表面電位による誤差の問題が付きまとうため、電極の周囲のイオン濃度を一定に保つ平衡電極を用いるのが適切である。系統的(従来研究をベースに積み重ねていく研究)ではないが、中国や日本を中心に様々な報告がある。 古いものでは、1923年関東地震において350km離れた仙台で数時間前から変化が生じ地震後もしばらく続いたことが報告されている(白鳥,1925)。また、茨城県柿岡の観測所で行われた地電位差観測では、1936年新島沖の地震(M6.3)、1938年紀伊水道の地震(M6.7)、1943年鳥取地震、1944年東南海地震などM6以上かつ200km以上離れた地震で変化があったことが報告されている(吉松,1937,1938,1943,1989)。新しいものでは、兵庫・岡山の山崎断層での集中観測において1984年に発生したM5.6の地震による変化が観測されている(宮腰,1985)。アメリカでは、サンアンドレアス断層において1974年のM5.2の地震と1975年のM2.4の地震において地電位差の異常があったと報告されている(Corwin and Morrison,1977)。中国でも、北京郊外の紅山州で1966年から行われた観測においてM3以上の地震では平均5時間前から変化があり地震後元に戻った(Coe,1971)ほか、1974年昭通地震(M7.1)で数時間前に90km離れた地点で地電流の異常があったことや(Allen et al.,1975)、1975年海城地震では震源から25kmほど離れた地点で1か月前から地電位差の異常が現れ始め10日前にピークを迎えた後地震直前に急反転するという変化があったこと(朱,1976; Molnar et al.,1977)などが報告されている。旧ソ連では、1970年代後半にカムチャッカで活発に観測が行われ、複数の報告がされている(Fedotov et al.,1970,1972; Sobolev,1975)。 特に、ギリシャではVAN法が実用化されている。VAN法は、50-200m間隔で1対の地電流観測所をギリシャ国内各地の約20か所に設置、10kmを超える間隔の観測所等も併用しつつ、SES(seismic electric signals)と呼ばれる継続時間数分-数時間の過渡的な地電位差変化をターゲットとして観測を行うものである。出現時期は地震の1か月前から数時間前ごろ、出現場所は必ずしも震源の近くではなく複雑な形態で現れることが分かっていて、これらの経験則から予知情報を発表している。 メカニズムとしては、圧電効果(ピエゾ効果)の説もあるが、地電流が対象とする直流成分に対する効果は小さい。他には、前段落でも述べた地下水の流動による流動電位の効果とする説、後の段落で述べる電気伝導度分布の変化によるものとする説などがある。 しかし、1000km 程度遠方まで伝播する雷雲による電磁変動を感知している可能性や、経済活動による様々なノイズ(鉄道、水道管防蝕の為の電流)や、センサー(検出コイル)が地震波の直接的影響で電位を発生した結果を誤認している可能性もある。
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