全国民が確定申告!?

20240905-00000017-jct-000-3-view.jpg 河野太郎デジタル大臣が、源泉徴収を廃止し、全国民が確定申告で税を納めるようにするとおっしゃった。
これに対して直ちに面倒くさい、事務負担が増加するなどと、危惧する声が出ている。

もちろん、源泉徴収の廃止自体はそれほど筋の悪い話ではない。
源泉徴収制度は、世界的には少数派で、ネット情報によると、ドイツ、インド、韓国ぐらいなものだという。
その歴史を見ると、日本では戦時に確実に税を徴収すること、ドイツでもヒトラーが同様の目的で導入されたなど、イギリスでもナポレオン戦争の戦費調達とか、どうも戦争する国がやりたがるものらしい。

河野大臣はそういう戦争をしやすくする税制度はケシカランと言った、わけではもちろんない。
この人は素人デジタルオタクで、デジタル化すること自体が目的で、その政策的、あるいは文化的含意にはまったく興味関心がないようだ。
たしかに大臣が言うように、すべての収入をマイナンバー付きで税務機関に報告しておけば、確定申告は簡単になる。

ネットでは家計がすべて税務機関に把握されることに対する拒否の声は当然大きいけれど、そのことはこの際措いておく。

それどころか申告の必要すらなくなるかもしれない。税務機関側が税の徴収として、あらかじめ届け出られている各国民の「公金口座」から引き去れば良いのだから。

口座に残額がなければ引けない可能性があるから、収入に応じた準備金を公金口座に積み立てることを義務付ければ良いだろう。あるいは収入のたびに10%とか公金口座から「源泉徴収」するということも可能だ。何よりいざとなったら簡単に差し押さえられるし。
それで家計が回らなくなるようなら、政府から高利で生活資金を貸し付ければ良い。さらにすすめば、国民の生活は政府貸付で済まされ、国民は税以外にその利子も納めるようになって、国庫は万々歳である(出挙方式)。


源泉徴収は、給与等の支払者(事業者)に徴収義務を負わせることで成り立っているが、そうした義務を負わないで行われる金銭のやりとりもある。政治献金などはその代表的なものだ。
これも税務機関に報告するようにしなければ河野大臣の言うデジタル化は完成しないわけだが、現金のやりとりがあるとどうしても把握できないお金が出てくるに違いない。
そこで河野大臣に提案したい。現金を廃止し、すべての取引をデジタル通貨で行うこと。

もっともそうすると国のデジタル通貨以外が通用する経済圏が発達するに違いない。
いわば、デジタル資産の物々交換状態である。


私は退職後は年金もいただいている関係で、ずっと確定申告をしてきている。手続き自体はe-Taxでそれほど面倒ではないのだけれど、いろんな控除とかのデータを揃えるのはやはり面倒である。
河野大臣が言うようにすべての収入を税務機関に記録しても、実際には確定申告はできないのである。扶養者がいる場合はさらに複雑なことになる。
控除に関係する支出も税務機関に記録することになるのだろうか。

この大臣、自分で確定申告ってしたことあるんだろうか?
あるいはデジタル化を推進するために、税制を簡素化して各種の控除は廃止してしまうのだろうか。
この人のデジタルオタクに「素人」を冠したのは、実現するために必要となるさまざまな課題を見ようとしないからである。
(それは実務家の仕事、政治家の「リーダーシップ」とはそういうものなのかもしれないが)

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