開かれたら行くだろうな

20231110-OYT1I50123-1.png EXPO 2025 大阪・関西万博、いろいろ言われている。
メディアが一番注目して報道しているのは、事業費がどんどん膨れ上がっているということ。

会場整備費は誘致当時は1250億円だったが、今では2350億円。
これに加えて政府パビリオンの事業費、途上国出展支援、安全確保費用など、あわせて3187億円などという。そしてまだこれで終わりではなさそうだ。

同じような話は8年前にも聞いた憶えがある。東京オリンピックの新国立競技場の建設費がどんどん膨らんだ。このときは一旦はコンペで採用されたデザインが却下され、隈研吾氏デザインの木を活かしたものに変更された。

900000814_img_4a4ef8b50a75f5030fbf100ba14b58e9560472.jpg 大阪万博で「無駄遣い」とやり玉に挙がっているのが、会場のシンボルとなる大屋根(リング)というもので。誰かが「日よけ」などと言って、「火よけ」どころか火に油を注ぐこととなった。

万博のリングも木造建築物。新国立競技場にあやかったのだろうか。


で、国会などでの議論でも、メディアが叩くのも、みんなお金の話である。
もちろん当初の予算を大きくオーバーするのは責められてしかるべきだ。もちろん資材価格や人件費の高騰が原因で予定通りにはならないという事情はあるのだろうけれど、こういうときは高くなったから仕方がないと増額するのか、できるだけ予算内に抑えるように一部を変更するという選択もある。新国立競技場は実際そうした(それで予算内になったわけではないが)。

大阪万博もリングのスケールを小さくするとか、工法を変えるとかで下げられないのか、少なくとも下げる努力を見せてもらえないのかという気もしないわけではない。


会場の舞洲はもともとはゴミ処理場で、地盤(といえるほどのものか)が脆弱でそれも建設費の上昇に寄与しているという。これも昔聞いた話に似ている(もともと低湿地にゴミを投入した鶴見緑地で行われた国際花と緑の博覧会(1990)で会場整備中にメタンガスが出た)。

さらに心配なのは、外国の出展準備がすすまないこと。これで開幕に間に合うのだろうか、そもそも出展をとりやめる国が出てくるんじゃないだろうか。(ロシアはお金との問題じゃなさそうだが)

大阪万博が決定したのは2018年11月、今から5年前のこと。その後の大きな経済情勢の変化は新型コロナとウクライナ戦争だと思う。(地盤の脆弱性は知らなかったではすまされない)
たしかにコロナ以後のサプライチェーンの崩壊と価格高騰は当時は予測できなかったと思うけれど、倍近くなるというのは当初の見積もりがいいかげんだったということもできるのではないだろうか。マスメディアも価格高騰の説明に対して量的な評価をして報道すべきだろう(といっても日本のマスメディアに期待してもダメか)。

大阪維新の会は計画を認めさせるために低予算に見せかけて、決定したら増額するという手口を使ったのだろうか。また政府もそれを承知で維新に恩を売ったのだろうか。
これは下衆の勘繰りですかね。


そしてそうした中、先日、開幕500日前に、入場チケットの販売が開始された。

※公式ページにはコンパクトなチケット案内が見当たらないので手間暇かけて次の表にまとめなおした。


 種別 大人 中人 小人
18歳~12~17歳4~11歳
 会期中チケットいつでも購入可能
 一日券7,5004,2001,800
 平日券6,0003,5001,500「平日」午前11時以降限定
 夜間券3,7002,0001,000「17時以降」限定
 
 前売限定チケット開幕前に販売
 開幕券4,0002,2001,000~2025/4/26 有効
 前期券5,0003,0001,200~2025/7/18 有効
 
 超早割一日券6,0003,5001,5002023/11/30~2024/10/6 販売
 早割一日券6,7003,7001,7002024/10/7~2025/4/12 販売

 価格は税込
 他に「複数回入場パス」「特別割引券」(障碍者)「団体チケット」あり
 年齢は2025年4月1日時点の満年齢。3歳以下無料
いつでも買えて利用に制限などがない普通のチケットは大人7,500円である。(EXPO'70は800円)
平日の午前11時以降に使える「平日券」は6,000円。17時以降に入場できる「夜間券」は3,700円である。
(開場時間は9:00~22:00)

普通のチケットは高いという印象があるが、割安の前売券が用意されている。
2024年10月6日までに買える「超早割一日券」が6,000円。開幕直前の2025年4月12日まで買える「早割一日券」が6,700円となっている。
そしてこの万博で眼を惹くのが、開幕後2週間の間有効な4,000円の「開幕券」、開幕後3ヵ月ぐらい有効な5,000円「前期券」。
過去の例では、開幕直後は客の入りが悪いということで、開幕券とか前期券が用意されたようだ。
行く気まんまんの人は、会期中に2回は行くだろうから、開幕券、前期券はとりあえず買うかもしれない。


リング外観2


リンググラウンドウォーク内観(夕景)


リングスカイウォーク(夕景)
大阪・関西万博公式Webページ/プレスリリースから
だけれど、これだけあちこちでケチをつけられたものだから、気をそがれて行かないという人もいそうだ。となると、会場がガラガラになるかもしれない。
EXPO'70のときはアメリカ館とかは3時間待ちはあたりまえだったが、2025 EXPOが不評でガラガラという事態になったら、どのパビリオンもそんなに待たずに入れるかもしれない。
それは素敵だ!

EXPO 2025では、今のところ他のパビリオンが良くわからない。万博の公式ページを見る限り、国内出展は少し案内されているけれど、外国パビリオンの情報は今のところわからない。
そんななかで一番の見物だろうと思うのは、バカでかくてバカ高い日よけと言われたリングだろう。これが完成したら、やっぱりこの上を一周してみたいと思う。

まさか工事費をケチって、強度の関係でリングの上に上がる人数を制限するなんてないだろうな。
心配なのは、ここから飛び降り自殺する人がいないかだけど。


博覧会開催の意義が薄弱という意見には、いまやICTで情報が得られるのに、どうしてわざわざ人を特定の場所に集めて情報提供する必要があるのかというのがある。
たしかにそういう一面もあって、展示内容の情報がはっきりしてきたら、ここは動画やVRで十分だとか判断できるようになるかもしれないと思う。
またドローンが飛ぶとか、自動運転車が会場内を走るとかも宣伝されているけれど、ドローンはともかく、自動運転車の乗車体験は、愛・地球博の超電導リニア館ほどのインパクトはないかもしれない。

ということで建築物としての魅力を発信するリングに期待したい。
無用の長物のように言う人に聞きたい、それなら国会議事堂だって無用の長物じゃないのかと。

リングを「日よけ」と言った人は、苦し紛れだとは思うけれど、ベースには直接何かの役にたたないとだめだという意識があるんだろうけど、それが間違いだと思う。そういう意識では芸術は廃れるし、基礎科学への投資はどんどん減っていく。
ちなみに"「日よけ」に350億円もかけるのか"と批判した人の発想も同根だろう。


以前、力の表現という記事で、高速道路のジャンクションの写真を載せて、「力の意志」を感じると書いているけれど、これはそもそも必然性あってのデザインであり、それがかえって力強さを感じさせてくれる。リングもそのような建築的美しさが感じられる構造物ではないかと思っている。

こう書くと私は大阪万博に賛成のように見られるだろうが、私はそもそもは大阪万博は不要だと思っていた。
これを推進する人たちは、経済効果(2兆円?)ばかり口にし、この事業費でこれだけの効果があるというような理論構成をしてきたように思う。とりわけ、これにIRを続けようという魂胆があって、一連の大型開発に合理性(がある見せかけ)を与えようということだろうと考えている。

(IRが儲かるんなら、その収益で万博の借金を返し続けるのもおもしろいけど)


20231212rosakajo-ring.png
大坂城を中心にリング(半径350m)を建設したら…
ただの思いつきだけど、リングは夢洲じゃなくて、たとえば大坂城をとりまくように作ったら、今後も永く集客できるのではないだろうか。リングの直径は700m、大坂城天守を中心に外側の堀に沿ってぐるっと回る大きさである。

博覧会の展示に携わっている人たちには、子供たちに見せたい未来のビジョンがあって、素晴らしいものにしたいという思いに熱いものがあると思う。
それだけに、それを政治利用しようというだけのものであってほしくない。

やっぱり開催されたら私も一度は行くだろうと思う。
まだどんなものかわからないパビリオン目当てでは自分を納得させられないから、こんなことを考えた。

リングは一見の価値がある。その上を一周してみたい(周囲2200mだから30分弱)。
そして大阪湾に沈む夕陽を眺めよう。
そしてその後、会場内(にあるだろう各国料理)のレストランでディナーをいただこう。

これこそICTでは体験できないものだ。

17時に入場。30分かけてリングを一周。18:00からのディナーを予約しておいて…


レストランの出店情報はいつ発表されるんだろう?
上のプランなら一番安い夜間券(3,700円)で間に合う。前売券を買うべきかどうか迷わなくて良い。

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