ごまかしてきたツケが回ってきたのだろう
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公金口座や健康保険とマイナンバーカードの紐づけが間違って他人になっているという。
公金口座の登録では、子供のマイナンバーカードに親の口座を紐づけるという、意図的なものが大量にあるという。
マイナンバー関係ではトラブルがあるたびに、情報システムの問題、人為的ミスなどと説明され、情報システムの改修やマニュアルの厳格化などが進められてきたと思う。
つまり技術が悪い、人間がミスをするというように、責任をシステムにおしつけてきた。
しかし、私は、こうしたトラブルが相次ぐのは、そもそもマイナンバー制度そのものの問題だと思う。
ことわっておくが、私は国民総背番号制に反対するものではない。それは効率的で迅速・正確な行政事務を実現する上では必須のものだと思う。
何が問題かというと、マイナンバー制度は、
- 国民総背番号ではない
- 名寄せには使わない
- 使用できるのは法律で定められた用途に限る
国民全員に番号を付すなら国民総背番号制というしかないが、そうではないというのはどういう意味だろう。
次の、名寄せには使わないだが、健康保険証や公金口座との紐づけなど、実質的に名寄せをしているのではないだろうか。「使わない」のは権力側であって、利用者の意思でするものは別であるということだろうか。
そのくせマイナポイントをばらまいて誘導するのは、権力の意思によるものではないか。
マイナンバーカードを保険証にするというのは権力の意思だと思うが。
保険証はマイナンバーカードと紐づけているというのなら、カードが更新されたら紐づけもやり直しになることになるが、そういう説明は聞いていない。やはりマイナンバーと紐づけているのではないかと思う。それともカード固有番号を使っているが、カードが更新されたらカード固有番号を引き継ぐようなシステムを構築ししているのだろうか、そんなこともわからない。
そしてこのポリシー(建前)を維持するために、無駄な投資が行われ続けてきた、そして無理を重ねたことが多くのトラブルを招いているのではないかと思う。
さらに変なバイアスとして、遅れているとされるICTにおいて、日本国を一気に先進国にするために、高度な技術をどんどんつぎこんで、技術で解決しようというものがあるように思う。
こういう発想は技術音痴に多いと思う。ちょっとスマホをいじるぐらいでデジタルは得意だと勘違いする連中がやりそうなことだ。その周りにはUSBも知らない人もいるわけだが。
前に書いたように、マイナンバーとは、国民総背番号制であり、名寄せに使うものであるということを認めてしまえば、余計な手間はかからないと思う。
そして既に、上に書いた3つのポリシーなるものが単なるフェイクであることが露呈しつつある。
3番目については悪いものではないと思う。しかし、政府の個人情報保護委員会とかでは、システムの技術的な評価はするようだが、そもそもその事務にマイナンバーを使う合理性をちゃんと評価しているかどうかはあやしいと思っている。ちゃんとやってたら保険証廃止なんてなかっただろう。
このフェイクを盾に、無理な仕様をメーカーに押し付けてきてはいないか。
ちゃんとしたSEなら、国の仕様は滅茶苦茶だと言うに違いない。
米国のSSNをはじめ、諸外国の国民IDというのは、内部事務的な利用を別にして、ICTを前提としてつくられた制度ではないと思う。だが、それらの国民IDはもっとわかりやすい制度になっている。これこれの公的サービスを受けるとき、税金を納めるときは国民IDが必要です、たったそれだけだろう。
日本国のマイナンバーも、そこからポリシーを練り直したらどうか。
守るべきはマイナンバーではなく、それに付随する個人情報のほうだろう。そこさえ厳格にすれば良いと思う。つまりマイナンバーを使用する事務はすべてリストアップされ、その事務ではマイナンバーをどうやって取得するのか(本人から直接、他の事務から取得など)、その事務からはどこへ・どんな情報が伝達されるか、など。
なおすべての行政事務は個人情報を扱うものはリストアップされ(個人情報ファイル簿)ているはずだ。
そして、本人が自分の情報が、それらの事務でどう記録されているか知ることができるようにする。
これをネットで行えるようにしたものこそマイナポータルと言うべきだ。そして、そこから得られた情報は公証力があって、確定申告その他に使えるようになっている、そういうものが国民に喜ばれる行政サービスだと思う。