東京2020

August 19, 2021

東京五輪の閉会式、サッカーEUROの決勝、MLBホームランダービー のうち米国内ではどれが最も視聴されたか?

答え.サッカーEUROの決勝

既に報道されているように、東京オリンピックは、1988年のソウルオリンピック以降最少の視聴者だった。
1年遅れで開催された東京オリンピックは、開催国民からかつてないほどの反発を受け、会場のすべてが空っぽ。
米国のテレビの状況は変化しており、これは単純に新型コロナの影響だけでなく、過去2年間で伝統的な視聴率が急激に低下している。

東京オリンピックの2016年比42%という減少率は、驚異的な現象だが、昨年3月に業界を衰退させた新型コロナ肺炎による中止や延期の波から、他の多くのスポーツ施設が経験したことと同じだ。
昨年9月のケンタッキーダービー(43%減)、
昨年10月のNBAファイナル(49%減)、
昨年11月のマスターズ最終ラウンド(48%減)と比べても、それほど大きな差はない。
ただ、オリンピックは1年遅れたが、本来の7月から8月に開催された。

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2021年主なスポーツイベントの米国内の視聴者数(単位人)

2021 NCAAバスケット men's final: ベイラー大-ゴンザガ大 1690万

NBA final:サンズ-バックス第6戦 1250万

UEFA "ユーロ2020"決勝:イタリア-イングランド 902万

MLBホームランダービー 713万

MLBオールスターゲーム 824万

東京五輪男子バスケ決勝 米国-仏国 985万(すべてのプラットフォームで1260万)

東京五輪女子バスケ決勝 米国-日本 845万(すべてのプラットフォームで1050万)

東京五輪閉会式 1200万

東京五輪開会式 900万

 

東京五輪の男子バスケットボールは、アメリカ87- 82フランス で4連覇を果たした。
NBCテレビだけで985万人(すべてのプラットフォームで1260)が視聴した。
これは、日曜日の午後に放送された2016年のアメリカ対セルビアの決勝戦(1,170万人)から21%、日曜日の午前中に放送された2012年のアメリカ対スペインの決勝戦(1,250万人)から26%減少している。

東京五輪の場合、特筆しなければならないことがある。
覚えている人も多いと思うが、この試合は日本時間の日曜昼間11:30に開始されている。
これはアメリカ東海岸ならば2230、西海岸ならば1930
テレビ観戦には絶好の時間なのだ。

オリンピック男子バスケットボールの決勝戦がNBCのゴールデンタイムに放送されたのは、アトランタ大会の1996年以来初めてのこと。プライムタイムのフルウィンドウでは、NBCだけで平均985万人(全プラットフォームで1260万人)の視聴者がいた。

今年のNBAfinalサンズ-バックス第6戦が1250万人、
あるいは、NCAAバスケット men's final: ベイラー大-ゴンザガ大の1690万人と比べると物足りない数字だ。

 

MLBと比較するとどうか。
713日に行われたMLBオールスター戦は、大谷翔平がア・リーグの先発し、1回無失点で勝利投手になった。
また、大谷はオールスターの前日に行われたホームランダービーにも出場した。
MLBは、意外と真夏の祭典の人気が思いのほか高く、ホームランダービー は713万人、

オールスターゲームは 824万人の視聴者を集めている。
東京五輪の閉会式とさほど変わらない視聴者を集めている。

 

さらに意外なところで、東京五輪の同様に1年延期されたサッカーの欧州選手権、EUROの決勝イングランド対イタリアは、902万人の視聴者を集めた。

もっと言うならば、ほぼ同時期に開催された南米選手権COPAの決勝アルゼンチン対ブラジルは350万人が視聴している。

 

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August 09, 2021

オリンピックで4連覇及び3連覇した選手(2021年版)

レスリング男子グレコローマン130キロ級決勝で、ミハイン・ロペスヌネス(38)=キューバ=が、11歳下のジョージア選手を破り男子初の五輪4連覇を達成した。「霊長類最強」と言われた男子最重量級の英雄、アレクサンドル・カレリン(ロシア)もなしえなかった偉業。

一方、射撃で初の五輪4連覇めざした秦鍾午(韓国)射撃50mピストルは、予選敗退。偉業はならなかった。

五輪で4連覇及び3連覇した選手は下記の通り。

 

4連覇

1948-1960 パウル・エルブストローム(デンマーク) セーリング男子フィン級

1948年のみファイアフライ級だがファイアフライ級はこの大会のみ。52年から一人乗りのディンギーはフィン級になる。

1956-1968 アル・オーター(アメリカ) 陸上男子円盤投げ

1984-1996 カール・ルイス(アメリカ) 陸上男子走幅跳

2000-2012 ベン・エインズリー(イギリス) セーリングレーザー級、フィン級

2004-2016 マイケル・フェルプス(アメリカ) 競泳男子200m個人メドレー

2004-2016 伊調馨(日本) レスリング58キロ級

2004-2012までは63キロ級、2016年のみ58キロ級

2008-2021 ミハイン・ロペスヌネス(キューバ)レスリンググレコローマン130キロ級 NEW

 

3連覇(夏季)男子

1948-1956 ゲルト・フレドリクソン(スウェーデン) カヌー男子カヤックシングル1000m

1956-1964 ヴィアチェスラフ・イワノフ(ソ連) ボート男子シングルスカル

1968-1976 クラウス・ディビアシ(イタリア) 男子10m高飛び込み

1972-1980 テオフィロ・ステベンソン(キューバ) ボクシング男子ヘビー級

1976-1984 ペルッティ・カルピネン(フィンランド) ボート男子シングルスカル

*モスクワ・ロサンゼルスを連覇した3人のうちの1人

1988-1996 ナイム・スレイマノグル(トルコ) 重量挙げ男子60㎏級

1988-1996 アレクサンドル・カレリン(ロシア) レスリング男子グレコローマン130kg

*霊長類最強と言われたカレリンもシドニー五輪では銀メダルに終わった。

1992-2000 ピロス・ディマス(ギリシャ) 重量挙げ男子85㎏級

1992-2000 フェリックス・サボン(キューバ) ボクシング男子ヘビー級

1992-2000 ヤン・ゼレズニー(チェコ) 陸上男子やり投げ

1996-2004 野村忠宏(日本) 柔道男子60kg

2004-2012 マイケル・フェルプス(アメリカ) 競泳男子100mバタフライ

2008-2016 秦鍾午(韓国) 射撃50mピストル

*東京では予選敗退

2008-2016 ウサイン・ボルト(ジャマイカ) 陸上100m

2008-2016 ウサイン・ボルト(ジャマイカ) 陸上200m

 

3連覇(夏季)女子

1956-1964 ラリサ・ラチニナ(ソ連) 体操女子種目別床

1956-1964ドーン・フレーザー(豪洲) 競泳100m自由形

1988-1996 クリスティーナ・エゲルセギ(ハンガリー) 競泳100m背泳ぎ

2000-2008 アンキー・ヴァン・グルンスヴェン(オランダ) 馬場馬術個人

2000-2008 バレンチナ・ベッツァーリ(イタリア) フェンシング女子個人フルーレ

2004-2012 吉田沙保里(日本)レスリング53キロ級

2004-2012までは55キロ級、2016年のみ53キロ級

 

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July 28, 2021

アメリカ国内における東京オリンピックの開会式の視聴者数は 33年間で最小 1700万人

筆者が常々米国において(あるいは世界的に)五輪離れが進んでいると指摘をしてきたが、東京五輪開会式の視聴者数からも、それが明白になったようだ。

 NBCテレビが実況中継した東京五輪の開会式について、米国内で視聴した人数は1988年のソウル五輪以降、過去33年の五輪で最低となる1670万人(速報値)だったことが分かった。NBCユニバーサルが24日発表した。

 NBCOlympics.comNBCスポーツのアプリなど、テレビ以外の全てのプラットフォームを含む視聴者は1700万人だった。

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July 22, 2021

日本オリンピック選手団の獲得したメダルは 前回の東京五輪で100個、長野五輪で300個に達し、2021年東京五輪で500個を超える

1964年の東京五輪の開幕までに日本選手団の獲得したメダルは、夏季五輪が金24、銀38、銅28、冬季五輪が銀1の合計91個。東京五輪では29個のメダルを獲得しているので、大会期間中に通算100個目のメダル獲得は達成されていた。

1988年の長野五輪の開幕までに日本選手団の獲得したメダルは、夏季五輪が金93、銀87、銅97、冬季五輪が金3、銀8、銅8の合計296個。長野五輪では10個のメダルを獲得しているので、大会期間中に100個目の金メダルと、通算300個目のメダル獲得が達成された。

100個目の金メダルは、スキージャンプ団体(岡部孝信、斉藤浩哉、原田雅彦、船木和喜)。

300個目のメダルは、スピードスケート女子500mの岡崎朋美ということになる。

金栗四三等が1912年のストックホルム五輪に初参加以来、昨年の平昌五輪までに、日本選手団がこれまでに獲得したメダルの総数は、夏季五輪で日本選手団が、獲得したメダルは、金142、銀136、銅161の合計439個。

冬季五輪で日本選手団が、獲得したメダルは、金14、銀22、銅22の合計58個。

総計497個となり、記念すべき500個目のメダルは、2021年の東京五輪で得られることになる。

日程を見ると、柔道か競泳ではないかと予想される。

日本と同様に500を超えそうなのがハンガリーの498個。
フィンランドが470個で続いている。
また、平昌冬季五輪までに500個を超えたのが、カナダとオーストラリアで、501個と512個である。

 日本選手団の獲得したメダル

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July 20, 2021

正式種目として成立し損ねる可能性があった東京五輪 “東洋の魔女” の女子バレー

1964年の東京五輪で"東洋の魔女"と呼ばれた全日本女子チームが、宿敵ソ連を3対0でくだし、初代金メダリストになったことは多くの人が知っていると思う。
日本対ソ連のバレーボール決勝戦の視聴率は2002年のW杯サッカーを凌ぐ歴代1位の66.8%で、NHK・民放合わせると85%に達したとも言われている。

東洋の魔女の金メダルにはこんな裏話がある。
東京五輪開幕間近になり、北朝鮮の大会ボイコットが決まった。

五輪球技は、正式種目として成立するには「6ヶ国以上の出場」という規定がある。
当初、女子バレーに出場を予定していたのは、日本、ソビエト、ポーランド、ルーマニア、アメリカに北朝鮮。

ところが、北朝鮮は開会式の前日の10月9日になり不参加を表明し帰国。正式種目の規定が満たせなくなった。
東京五輪組織委員会は、韓国に100万円を送り、急遽出場をお願いした。
当時、バレーボールは東京五輪に限って正式種目として実施することになっており、日本女子が金メダルを獲れる唯一の種目を何としても実施したかったのだ。

事実、東京五輪以前に日本の女子選手が獲得した金メダルは、1936年ベルリン五輪200m平泳ぎの前畑秀子さんが唯一であり、地元開催で2個目の金メダルが欲しかったのだ。
そして急遽来日し、準備不足だった韓国バレーチームは全敗している。

当時 女子の球技は、世界的にみても、バレーボール以外もほとんど普及していなかった。
バスケットボール、ハンドボールも女子は実施されておらず、ホッケー、サッカー、水球の女子の採用はほんの最近なのだ。

 

●東京五輪女子バレー最終順位

1.日本
2.ソビエト
3.ポーランド
4.ルーマニア
5.アメリカ
6.韓国

 

●球技の五輪初実施大会

サッカー男子     1900年
サッカー女子     1996年
水球男子       1900年
水球女子       2000年
バスケットボール男子 1904年
バスケットボール女子 1976年
ホッケー男子     1908年
ホッケー女子     1980年
ハンドボール男子   1936年
ハンドボール女子   1976年
バレーボール男子   1964年
バレーボール女子   1964年
野球         1992年~2008,20年
ソフトボール     1996年~2008,20年

 

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July 06, 2021

東京五輪 日本選手団 旗手と主将決まる

東京五輪日本選手団の男女旗手が正式発表された。男子はバスケットボールの八村塁(23=ウィザーズ)、女子はレスリングの須崎優衣(22=早大)を起用する。

IOC国際は、ジェンダー平等の観点を考慮して、今大会から旗手を男女1人ずつのペアで起用できる新ルールを採用した。JOCは八村、須崎の起用を固めていた。
八村塁というのは非常に良い選考だ。
実績、知名度は申し分なく、父親がベナン人、母親が日本人という57年前にはなかった日本人の多様性を表している。

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5年前の旗手は誰だったか?
五輪の開会式の映像はニュース等も含めると相当回数見ているはずだが、わずか5年前の旗手が誰であったか意外と覚えていない方も多いのではないだろうか。
リオデジャネイロ五輪の日本選手団旗手は、陸上10種競技の右代啓祐が務めた。

旗手や主将の競技種目は、戦前は陸上が多い。
戦後、様々な競技から選ばれるようになったが、実力、知名度の高い柔道が多い。

ソウル大会に女性初の旗手として小谷実可子が選ばれ、シンクロ(現在はアーティスティックスイミング)ソロで銅メダルを獲得。
ロサンゼルス大会(1984年)の銅メダリストであった中田久美は、旗手を務めたバルセロナ大会では6位。東京五輪は日本代表監督として臨む。

20歳で2度目のオリンピック出場を果たし、誰もが金メダルを持ち帰ると思ったアトランタ大会の旗手田村亮子は、柔道48キロ級決勝で北朝鮮のケースンヒに敗れ、再び銀メダルに終わっている。念願の金メダルを手にするにはさらに4年待たなければならなかった。

室伏重信(モスクワを含め5大会代表)、室伏広治(4大会出場)、室伏由佳(1大会出場)という3人で10大会に五輪代表という室伏家だが、意外にも重信氏がロサンゼルス五輪で旗手を務めたことがあるだけだ。

選手宣誓は?
日本開催場合、選手団の主将は選手宣誓を務めており、今大会は山県亮太がすることになると思われる。過去の日本開催の五輪で、選手宣誓をしたのは下記の人物だ。
1964年東京 小野喬
1972年札幌 鈴木恵一
1998年長野 荻原健司

 

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April 13, 2021

東京五輪の競泳選手団は史上3番目の規模

東京五輪の競泳日本選手団は33名となった。
これは、1964年の東京五輪の38名、リオ五輪の34名に次ぐ規模だ。

1996年のアトランタ五輪に27名という大規模編成をし、世界ランカー、メダル有望選手を何人も抱えていながらメダルゼロに終わったことが選考の転機になり、2000年以降、水連は独自の派遣標準記録を設定し少数精鋭の選手団を構成するようになる。
丁度北島康介の台頭と相まり、以後の五輪では複数のメダルを獲得するようになった。

ちなみに東京五輪での日本チームは、男子800リレーの銅メダル1個に終わっている。
800リレーは岩崎邦宏・岡部幸明・庄司敏夫・福井誠のメンバーで銅メダルだったが、この種目の予選には山中毅さんが岡部幸明さんの代わりに泳いでいる。
現在のルール(1984年以降)であれば、予選のみしか泳がなかった選手にもメダルは渡されるが、当時は山中さんにメダルは渡らなかった。

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興味深いのは1972年のミュンヘン五輪。
男子の代表選手は僅かに4人。

 平泳ぎ・田口信教 21歳
 バタフライ・駒崎康弘 18歳
 背泳ぎ・本多忠 20歳
 個人メドレー・佐々木二郎 16歳

という若きメンバーだった。
が、田口信教さんが100mで金、200mで銅を獲った。
自由形の専門選手のいない中、佐々木二郎を自由形に回したメドレーリレーで6位入賞を果たした。
さらに、ミュンヘン五輪では、女子の青木まゆみさんも100mバタフライで金メダル獲っている。

 

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April 01, 2021

アメリカで進む五輪離れ リオ五輪の男子バスケットボール決勝は NBAファイナルの1/3の視聴者しかいなかった

3月31日ホーネッツ戦に40分出場し、ゲームハイ&キャリアハイタイの30得点(FG12/25、3P1/2、FT5/5)・4リバウンド・3アシストの活躍を見せた八村塁

ウィザーズの同僚であるラッセル・ウェストブルックのこと、現在開催中のNCAA男子バスケットボールトーナメントで母校ゴンザガ大学のファイナルフォー進出などについてインタビューに答えている。



米国では3月は、マーチマッドネスと呼ばれるカレッジ・バスケットボールのNCAAトーナメントが爆発的な人気を呼ぶ。 
カレッジバスケットの人気は、米国に住んでいないことにわかりにくいかもしれないが、この人気はスーパースター依存ではなく、チームプレーを重視する玄人むけといわれる。
1992年、一度だけこの時期にニューヨークにいたことがあるが、誰もがカレッジバスケットの話題をする、そんな状況だった。

ラッセル・ウェストブルックは、現在32歳。
ロンドン五輪の米国代表で金メダリスト、このときの米国代表には、レブロン・ジェームズ、カーメロ・アンソニー、コービー・ブライアント(故人)などが名を連ねていた。

NBAのドリームチームが五輪に出場するようになって、米国が金メダルを獲れなかったのはアテネ五輪の1回のみ。
さぞかし米国のバスケットファンは、五輪のバスケットを楽しみにしている…と思うだろう。

 

興味深いデータがある。
リオ五輪があった2016年の米国で、最も視聴者があったバスケットボールの試合ベスト10だ。
キャバリアーズ とウォリアーズによって争われたNBAファイナルが上位に来ているが、キャバリアーズが優勝を決めた7戦目は、なんと3100万人もの米国人が視聴している。

 

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ベスト10には、NCAA(マーチマッドネス)の試合が2つランクインしているが、五輪の決勝 米国 対 セルビア はそれよりも下、10位でしかない。
1170万人が視聴しているが、NBAファイナルの1/3でしかない。

ご存知のようにIOCの最大の収入源はテレビ放映権料だ。
NBCテレビは、2014年ソチ五輪から夏冬10大会の米国向け五輪放映権を計120億ドル(約1兆3000億円)で取得している。
夏冬含めた一大会平均は12億ドル

では、米国のテレビは、米国内のバスケットボール中継にはいくら支払っているのか。

NBA 27億ドル (ABCテレビ)
NCAA 7.7憶ドル (ターナー)

この金額は1シーズンの全ての試合を含んでいるのだが、NBAの方が、五輪一大会よりもずっと高いのだ。

なぜ、東京五輪が、前回1964年のように10月に開催できないのか、真夏の東京を危惧する声が聞こえるたびに「米国のプロスポーツと日程がぶつかるから」とその理由が言われてきた。
正確には「米国のプロスポーツと日程がぶつかり、そちらの方が放映権も高額で、多くの視聴者が見込めるから」となる。

もっとも、地球には中国という国があって、彼らはバスケットボールが大好きで、米国よりもはるかに多くの人が、NBAも五輪のバスケットも見ている。

 

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March 12, 2021

東京オリンピックは開催されるのか?引き受け手のないオリンピック

IOCのバッハ会長は10日、東京五輪が7月に開幕することは「疑いようがない」と明言した。
このバッハ会長の言葉は驚きを持って迎えられた。

 一方、対立候補なしに行われたIOC会長選、バッハ氏は94人中93人に支持され、その任期は2025年までとなった。

東京五輪はコロナ禍で中止になる可能性がある。
8割の日本人が、今年の開催を望んでいない。
今後も感染症で中止になる可能性のある五輪に、手を挙げて開催してくれる都市、あるいは協賛してくれる企業は減っていくかもしれない。
バッハ氏は、その強い危機感を持つからこそ、逆に「疑いようがない」と言っているのではないか。
そしてIOC委員は、だから、バッハ氏を支持し、手腕に期待しているのだ。

2024年夏季五輪に立候補したのはパリ、ロサンゼルス、ブダペストの3都市。
ところがブダペストが途中で辞退。パリとロスの一騎打ちになった。
2028年に立候補する都市がなくなることを危惧したIOCは24年招致に敗れた都市に28年大会の開催をお願いする形で 

2024年 パリ

2028年 ロサンゼルス

の開催が同時に決まった。
パリもロサンゼルスも新たに作る競技施設はない。ここが最大のポイントだ。

そして、2032年大会は、ブリスベンに優先権を与え事実上開催が決まっていると見られている。

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近年最も多くの都市が開催に手を挙げたのが2004年大会。
アテネで開かれた大会だが、11都市が立候補した。

IOC総会での投票までいったのは下記の5都市

アテネ(ギリシャ)開催都市
ローマ(イタリア)
ケープタウン(南アフリカ)
ストックホルム(スウェーデン)
ブエノスアイレス(アルゼンチン)

上記以外にも書類選考で6都市が落選している。

イスタンブール(トルコ)
リール(フランス)
リオデジャネイロ(ブラジル)
サンクトペテルブルグ(ロシア)
サンファン(プエルトリコ)
セビリア(スペイン)

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こんなにも多くの都市が立候補していたのに、なぜ急激にその数が減ってしまったのか。

転機になったのは149億ドルの経費がかかったロンドン五輪と219億ドルかかったソチ冬季五輪。
東京は関連事業も含めて3兆円(281億ドル)かかるといわれている。
東京は招致の段階で、大会にかかる予算総額を7300億円、組織委員会の予算を3400億円としていた。

東京大会の状況を見ていて感じるのは、どんなに大金をかけて準備をしても、中止になる可能性は否定できないということ。
東京招致の決まった2013年に、原発事故の処理や、暑さを気にする人はあったが、まさか感染症に脅かされることになるとは思ってもみなかっただろう。

1980年代、近代五輪は存続の危機にあった。
768084年とボイコットの応酬に遭い、片肺の大会が続いたのだ。

1980年代、五輪は嫌われ者だったといってもいいだろう。
開催したいと手を挙げる都市はなく、開催すれば莫大な赤字が残った。
1976年以降1988年までの夏季五輪に立候補した都市はこれしかない。

1976年 モントリオール モスクワ ロサンゼルス
1980年 モスクワ ロサンゼルス
1984年 ロサンゼルス
1988年 ソウル 名古屋

1976年大会に立候補した3都市が、順番に1984年まで開催しているのだ。

1984年大会に立候補した都市はロサンゼルスのみ。
莫大な赤字を背負ったモントリオールの記憶が新しく、他に立候補を表明する都市はなかった。
アメリカ連邦政府、カリフォルニア州政府はビタ一文税金を使わないのなら、開催してもいいよとロサンゼルス市に通告した上での立候補だった。
この大会が、今日でも踏襲される商業五輪の原型となるのだが、30年以上経って五輪招致をめぐる状況は似てきている。

テレビ放映権は確かに莫大だが、大会経費も80年代とは比べものにならないくらい大きくなっている。

 

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February 18, 2021

東京オリンピックを中止にできない訳を簡単にまとめてみた

IOC2013年から2016年までの収入は57億ドルだが、その73%が米NBCの支払うTV放映権だ。

NBCの支払う五輪一大会の放映権は11億ドル、2020年初頭には、東京五輪のCM枠は12.5憶ドルで完売している。

IOCは開催都市契約第14条に基づき、放映権料を原資とする拠出金850億円を東京五輪組織委員会に支払うが、大会が中止になればこれをIOCに返さなくてはならない。

IOCの収入の90%は、競技団体とNOCに分配され、今後4年間の運営資金となる。

特にマイナー競技はこの費用を強化と普及に使う。

つまり、東京五輪を中止にすると、IOC、各競技団体の財政は危機的状況に陥る。

五輪開催に際して、余剰金が出れば開催都市に分配金が払われ、リオデジャネイロは15.3憶ドル、平昌は9億ドルを得ている。
が、大会が赤字になれば開催国が財政保証し、補填すると約束をしている。
補填の順番としてはまず東京都、それから日本政府だ。

 

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リオ五輪から各IF(国際競技団体)へ分配された額は合計5億4000万ドル(約577億円)。
その4年前のロンドン五輪の5億1960万ドルからやや増となっている。

IOCは五輪で行われている競技を観客動員数、テレビなどのメディアでの露出など複数の項目に基づいてランク付けをし、これに従って分配金も傾斜配分しているのだ。

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2012年のロンドン五輪当時の正式競技は、A~Dの4段階にランク分けされた。
最高のIAAF(当時、現在の世界陸連)が得た分配金は4700万ドル。以下、Bランクの競技が2200万ドル、Cが1600万ドル、Dは1400万ドルだった。

その後、リオデジャネイロ五輪に向けて新たに公表されたランクは、1つ増えてA~Eの5段階になり、最高のAランクは陸上に加えて体操と水泳がBランクから昇格し3競技となった。

日本人が好む競技であるサッカー、バレーボール、卓球、柔道はいずれもランキングの上位にある。

一方で、一度五輪正式種目から外されかけたレスリングや韓国発祥のテコンドーはD、リオ五輪から正式種目となったラグビー(7人制)、ゴルフはEランクにある。

陸上(WA)、サッカー(FIFA)など自己資金が潤沢な競技団体は少なく、IOCから資金分配は、プロのあるバスケットボールやテニスといえども競技の普及や発展のために貴重な金額であり、五輪の舞台から降りたい競技団体は存在しないのである。

五輪競技から外れるとこのカネが入らなくなり、マイナー競技のIFほど運営は苦しくなる。
IFが主催する世界選手権や国際大会のブランド価値も落ち、独自にスポンサーを集める力も衰え、競技人口の減少につながるなどダメージは計り知れない。

スイスにある一非営利団体に過ぎないIOCが、世界のスポーツの生殺与奪の権を握る最大の理由がここにあるのだ。

 

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