昨日閉幕した北京五輪は、204の国・地域が参加して、28競技302種目で競われた。
金メダル獲得争いは、中国が同国史上最多の51個で初の1位となった。
1952年のヘルシンキ五輪に旧ソビエト連邦が初参加して以来、アメリカ、ソビエト(EUN含む)以外の国が第1位になるのは初、51個という数字も、事前に予想されていた数字を大きく上回り、往時のソビエト並みの獲得数となった。(ボイコットの応酬のあった80年、84年を除く)
中国の凄いところは、得意種目においては、圧倒的に勝利するところだろう。
卓球、バドミントン、飛び込み、重量挙げ、体操(男子)の中国のメダル獲得状況は次のようになる。
卓球は、シングルは男女ともメダル独占、団体も男女とも金メダル。卓球シングルの中国のメダル占拠率100%
男子シングル ①中国 ②中国 ③中国
女子シングル ①中国 ②中国 ③中国
男子団体 ①中国 ②ドイツ ③韓国
女子団体 ①中国 ②シンガポール ③韓国
バドミントン 5種目の内、中国が3種目を制した。
中国の金メダル占拠率 60%
男子シングル ①中国 ②マレーシア ③中国
女子シングル ①中国 ②中国 ③インドネシア
男子ダブルス ①インドネシア ②中国 ③韓国
女子ダブルス ①中国 ②韓国 ③中国
混合ダブルス ①韓国 ②インドネシア ③中国
飛び込み 8種目の内、男子の高飛び込み以外は、中国が制した。
中国の金メダル占拠率 88%
男子 板飛び込み ①中国 ②カナダ ③中国
男子 高飛び込み ①豪州 ②中国 ③ロシア
男子 シンクロ板飛び込み ①中国 ②ロシア ③ウクライナ
男子 シンクロ高飛び込み ①中国 ②ドイツ ③ロシア
女子 板飛び込み ①中国 ②ロシア ③中国
女子 高飛び込み ①中国 ②カナダ ③中国
女子 シンクロ板飛び込み ①中国 ②ロシア ③ドイツ
女子 シンクロ高飛び込み ①中国 ②豪州 ③メキシコ
体操(男子) 日本と中国の2強どころか、中国の圧倒的勝利。中国は団体金のために、種目別の跳馬のメダルをハナカラ捨てていたが、残る7種目全てに金メダルを獲った。
男子体操の中国金メダル占拠率 88%
男子 団体 ①中国 ②日本 ③米国
男子 個人総合 ①中国 ②日本(内村航平) ③フランス
男子 種目別床運動 ①中国 ②スペイン ③ロシア
男子 種目別跳馬 ①ポーランド ②フランス ③ロシア
男子 種目別平行棒 ①中国 ②韓国 ③ウズベキスタン
男子 種目別鉄棒 ①中国 ②米国 ③ドイツ
男子 種目別つり輪 ①中国 ②中国 ③ウクライナ
男子 種目別あん馬 ①中国 ②クロアチア ③英国
重量挙げ かっては東欧圏の強い競技だったのだが、完全にアジアの強い競技になった。女子は中国の金メダル占拠率 47%
男子 56kg級 ①中国 ②ベトナム ③インドネシア
男子 62kg級 ①中国 ②コロンビア ③インドネシア
男子 69kg級 ①中国 ②フランス ③アルメニア
男子 77kg級 ①韓国 ②中国 ③アルメニア
男子 85kg級 ①中国 ②ベラルーシ ③アルメニア
男子 94kg級 ①カザフスタン ②ポーラン ③ドロシア
男子 105kg級 ①ベラルーシ ②ロシア ③ロシア
男子 105kg超級 ①ドイツ ②ロシア ③ラトビア
女子 48kg級 ①中国 ②トルコ ③台湾
女子 53kg級 ①タイ ②韓国 ③ベラルーシ
女子58kg級 ①中国 ②ロシア ③北朝鮮
女子 63kg級 ①北朝鮮 ②カザフスタン ③台湾
女子 69kg級 ①中国 ②ロシア ③ウクライナ
女子 75kg級 ①中国 ②カザフスタン ③ロシア
女子 75kg超級 ①韓国 ②ウクライナ ③カザフスタン
中国の得意とする5競技のみで29個の金メダルを獲った。
29個という数字は、ロシアの全金メダル数23個を上回り、日本と韓国の金メダル合計22個も上回る。
少し中国人選手に、出場制限でもできないものか。
実は、特定の国が強すぎる競技に出場制限を設けているものもある。
テコンドーだ。
テコンドーは1994年のIOC総会で正式種目に決まり、シドニー五輪から採用された。
男女合わせて8階級が行われているが、出場枠は各国とも男女合わせて4階級までという決まりが、シドニーから現在に至るまである。
発祥の国韓国が、圧勝しないようにとの配慮らしいが、このルールを撤廃する動きは、現在のところない。
韓国は出場した全ての4階級で金メダル
男子 58kg級 ①メキシコ ②ドミニカ共和国 ③台湾・アフガニスタン
男子 68kg級 ①韓国 ②米国 ③台湾・トルコ
男子 80kg級 ①イラン ②イタリア ③米国・中国
男子 80kg以上級 ①韓国 ②ギリシャ ③カザフスタン・ナイジェリア
女子 49kg級 ①中国 ②タイ ③ベネズエラ・キューバ
女子 57kg級 ①韓国 ②トルコ ③米国・クロアチア
女子 67kg級 ①韓国 ②カナダ ③フランス・クロアチア
女子 67kg以上級 ①メキシコ ②ノルウェー ③ブラジル・英国
韓国が仮に全階級に出場したら、8割~9割金メダルを独占できるだろう。
日本が圧倒的に強い競技といえば、柔道ではなく女子レスリング。
女子レスリングの普及が、逸早く進んでいた日本、特に日本レスリング協会福田富昭会長の奔走で正式種目になった。
日本はアテネとならび2階級の金メダルを含む全4階級でメダルを獲った。
が、中国を初め、他の国も随分と強くなっている。
ロンドン五輪は今までのようには行かないだろう。
女子 48kg級 ①カナダ ②日本(伊調千春) ③ウクライナ・アゼルバイジャン
女子 55kg級 ①日本(吉田沙保里) ②中国 ③コロンビア・カナダ
女子 63kg級 ①日本(伊調馨) ②ロシア ③米国・カザフスタン
女子 72kg級 ①中国 ②ブルガリア ③日本(浜口京子)・ポーランド
●金メダル獲得1位の国と開催国 1952年以降
ヘルシンキ(1952年)
|
金
|
銀
|
銅
|
1
|
アメリカ
|
40
|
19
|
17
|
8
|
フィンランド
|
6
|
3
|
13
|
メルボルン(1956年)
|
金
|
銀
|
銅
|
1
|
ソビエト連邦
|
37
|
29
|
32
|
3
|
オーストラリア
|
13
|
8
|
14
|
ローマ(1960年)
|
金
|
銀
|
銅
|
1
|
ソビエト連邦
|
43
|
29
|
31
|
3
|
イタリア
|
13
|
10
|
13
|
東京(1964年)
|
金
|
銀
|
銅
|
1
|
アメリカ
|
36
|
26
|
28
|
3
|
日本
|
16
|
5
|
7
|
メキシコ(1968年)
|
金
|
銀
|
銅
|
1
|
アメリカ
|
45
|
28
|
34
|
15
|
メキシコ
|
3
|
3
|
3
|
ミュンヘン(1972年)
|
金
|
銀
|
銅
|
1
|
ソビエト連邦
|
50
|
27
|
22
|
4
|
西ドイツ
|
13
|
11
|
16
|
モントリオール(1976年)
|
金
|
銀
|
銅
|
1
|
ソビエト連邦
|
49
|
41
|
35
|
27
|
カナダ
|
0
|
5
|
6
|
モスクワ(1980年)
|
金
|
銀
|
銅
|
1
|
ソビエト連邦
|
80
|
69
|
46
|
ロサンゼルス(1984年)
|
金
|
銀
|
銅
|
1
|
アメリカ
|
83
|
61
|
30
|
ソウル(1988年)
|
金
|
銀
|
銅
|
1
|
ソビエト連邦
|
55
|
31
|
46
|
4
|
韓 国
|
12
|
10
|
11
|
バルセロナ(1992年)
|
金
|
銀
|
銅
|
1
|
EUN(旧ソ連合同)
|
45
|
38
|
29
|
6
|
スペイン
|
13
|
7
|
2
|
アトランタ(1996年)
|
金
|
銀
|
銅
|
1
|
アメリカ
|
44
|
32
|
25
|
シドニー(2000年)
|
金
|
銀
|
銅
|
1
|
アメリカ
|
40
|
24
|
33
|
4
|
オーストラリア
|
16
|
25
|
17
|
アテネ(2004年)
|
金
|
銀
|
銅
|
1
|
アメリカ
|
35
|
39
|
29
|
15
|
ギリシャ
|
6
|
6
|
4
|
北京(2008年)
|
金
|
銀
|
銅
|
1
|
中国
|
51
|
21
|
28
|
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