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2020/03/23

Book:加藤哲夫先生古稀祝賀論文集『民事手続法の発展』

いわゆる記念論文集は、一般的に価格が高いが、この民事手続法の発展: 加藤哲夫先生古稀祝賀論文集も25000円という価格だ。

 

 

しかし、注目すべき論文がいくつも入っているので、研究者は落とせないところである。

 

まず、弁護士会照会をめぐる最高裁判決について、以下の2つが注目される。

 

加藤新太郎「弁護士会照会最高裁判決を考える」43頁

川島四郎「弁護士会照会に対する報告義務の確認の訴えの適否に関する覚書―訴訟を通じた救済形成とその限界についてー」65頁

加藤新太郎先生の論文は、既にこれまで書かれた内容をまとめ上げられるもので、基本的に批判的な立場からのものだが、最高裁判決を前提として今後どうしたらよいか、開示の実質を上げるためにどうしたらよいかが展望されている。

川島四郎先生の論文は、現在の制度の中では妥当な結論であるとして、立法による新たな制度構築の議論をすべきという方向が示されている。ただ、ニュアンスとしては川島先生の書き方に慎重な姿勢が見え隠れしているように思えるのだが、それは読み込み過ぎであろうか?

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また、時節柄、民事執行法改正に関する論考も目立つ。

安西明子「民事執行法改正による子の引渡し―最近の裁判例を題材に―」205頁

内田義厚「子の引渡しの強制執行と人身保護請求―民事執行法等の改正と判例を踏まえて―」219頁

柳沢雄二「子の引渡しの強制執行に関する日本の民事執行法の改正」309頁

出口雅久「強制執行における事案解明と効果的な権利保護」235頁

安西、内田、柳沢の各先生の論考は子の引渡しに関する民事執行法改正に関連するが、特に内田先生が債務名義作成機関と権利執行機関との区別の見直しにも踏み込んだ改正と評価しているところが目を引く。

出口先生の論文は、財産開示手続に関する立法と比較法的な検討である。

 

なお、私も末尾に「離婚等の人事・家事手続におけるドメスティック・バイオレンス」1011頁という小稿を載せていただいているので、興味のある方はコメント欄にメールアドレスを書いてくれれば、PDFをお送りしたい。

 

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