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2020/02/15

Book:デジタル遺産の法律問題Q&A

北川祥一という弁護士の方のデジタル遺産の法律実務Q&Aという本を買った。これに触発されて、デジタル遺産ということについて考えてみる。

 

まず、デジタル遺産とは何か

故人の有していたデジタル情報一般と言ってもいい。

これには故人のパソコンやハードディスク、スマホなどに記録されているデータもある。他に、ストレージサービスとかクラウドコンピューティングサービスに記録されていて、ネット経由でアクセスすることが予定されているもの、さらにはSNSなどに書かれたりアップされたりしている情報もある。

 

6 情報の種類としては、写真やビデオ、未公開の作品など、故人の著作物があるし、個人が買ったりダウンしたりして収集したデータもある。
さらには連絡先データとか、SNSでの交流相手、交流のログなどもある。

金融機関のアカウントとかも最近はデジタルだから、デジタル遺産の中には文字通り財産というものもあれば、個人情報、著作物など、様々な種類がある。

これらは全て、一応は財産として、普通の遺産と同様に相続人に帰属すると言ってもいい。データそのものが相続の対象となるかは難しい問題があるが、データの記録された媒体は疑いなく相続の対象だし、銀行口座やSNS、ストレージなどの契約上の地位も相続の対象になるだろう。これを約款とかで一身専属だとすることは、とりあえずできないと考えられる。この点は最後にまた戻ってくる。

しかし、法的にはともかく事実上相続人の管理下に置かれないというものがありうる。故人だけが知っていたパスワードによって保護されていて管理者もパスワードを初期化したりできないもの。マックやiOSはそうらしい。
オンラインでアクセスするストレージやクラウドも、そういうものがありうる。暗号資産、すなわち仮想通貨なんかも、交換業者がパスワードを持っていればいいが、故人しか分からないと、そのメモとかが発見されない限り財産的価値があっても換金できないということになる。

10 仮に相続人に管理ができたとすると、今度はそれが妥当かという問題も出てくる。
例えばSNSアカウントのデータなどは相続人がなんでもできるのか? 故人の名前で使い続けたり、逆に過去のものも消したりできるのか? 友達関係にあった人との関係を相続人は見られるのか?
親の死後に子供が見るだけでなく、子供を親が相続することも考えられる。そこに故人の意思は尊重されないのだろうか? あるいは故人とつながっていたSNSの友達の意思は尊重されないのか?

 

こう言った様々な問題が出てくるので、デジタル遺産の取り扱いはすごく面白いテーマだ。

 

この問題は北川先生の本を見る前に、関東学院大学の折田明子先生の研究会でもお話をうかがっていたので、前から考えてはいた。

 

故人の意思の尊重ということでは、遺言で指示したり、遺言執行者に処理を委ねたりということが考えられる。とはいえ遺言により処分できないのだとすれば、北川先生の本で紹介されている死後事務委任契約を締結しておけば、友達などに消去などを委ねることはできそうだ。

あと、SNSの利用規約で一身専属が規定されていたとしても、相続人に対抗することはできないと思われるが、事後事務受任者には対抗できるのではないかという疑問もある。

この辺りは、裁判をやってみないとどうなるか分からないという領域だ。

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