election:最高裁裁判官の国民審査、この間の大法廷判決も参考にしよう
最高裁判所の裁判官国民審査も告示されたが、いつも聞くのが、選ぶのは難しいという声。
確かに高度に専門的な最高裁判決の評価をすることは、一般的には難しい。
しかし、それでもこの機会は無駄にすべきでないので、できるだけ分かりやすい評価基準を各自立てて権利を実行すると良いと思う。
例えば、前回の参議院議員選挙について、一票の価値の不平等を理由に選挙無効を訴えた訴訟で、最高裁の大法廷判決がついこの間の平成29年9月27日に出されている。
この判決で、今回の国民審査の対象となった裁判官がどのような意見を採ったかというと、唯一、林景一裁判官が「意見」を書いていて、違憲状態を脱したという多数意見に対して疑義を呈している。
一人一票の原則及び投票価値の平等原則に照らした場合,一の選挙区の有権者の投票価値が別の選挙区の有権者の投票価値の約3倍に達する状態について,そこまで(違憲状態を脱したというところまで---引用者注)の評価を明言することにはためらいがある
ただし、3倍以内にまで格差を縮めたことにより、国会の裁量権の範囲を超えるとはいえないと判断され、その結果、多数意見と結論を同じくしたわけである。
林裁判官はニュアンスの違いがあると言っている。
彼以外のすべての国民審査対象裁判官は、特に補足意見を書くこともなく、多数意見に全面的に同調している。
国民審査対象裁判官に関する情報は、election:総選挙といえば、最高裁裁判官の国民審査も忘れずにをご参照。
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