arret:条例の制定に対する不服訴訟
著書「武士道」で知られる教育者・新渡戸稲造の遺品などを展示する青森県十和田市の市立新渡戸記念館をめぐり、新渡戸家側が市を相手に廃止処分の取り消しを求めた訴訟の控訴審判決が23日、仙台高裁であった。小川浩裁判長は請求を却下した一審青森地裁判決を取り消し、審理を同地裁に差し戻した。新渡戸記念館は1965年に開館した。新渡戸家の土地に市が記念館を建てて資料を展示していたが、耐震診断で強度不足が判明。記念館の設置や管理を定めた条例を廃止するため、2015年6月に廃止条例を制定した。
一審判決は、公の施設について制定された条例に対し、個人が取り消しを請求できる法的根拠はないとして訴えを却下した。
高裁判決で小川裁判長は、新渡戸家と市が遺品などの保管で覚書を交わし、市の文化財として保全に努力することを約束したなどと指摘。廃止条例は新渡戸記念館のみが対象で、直接影響を受けるのは新渡戸家に限定されると判断し、訴えを適法と認めた。その上で、廃止条例制定の違法性について審理を尽くす必要があると結論付けた。
第一段落の「請求却下」というのは第三段落の「訴えを却下」が正しい。
要するに、条例の制定に対して、取消訴訟を提起したということのようだ。そして一審は訴え却下したのに対して、控訴審は適法な訴えと認めて取消し差し戻したということである。
ほのかに条例の制定が抗告訴訟の対象になるかという論点を思い出すのだが、ここは行政法の専門家に説明をお願いしたい。
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