Bankruptcy:森友学園倒産
民訴教材としても良いくらいだが、森友学園が民事再生法の適用を申請して倒産した。
さて、なぜ民事再生なのかという問題と、民事再生はDIP型と知っている方は今回の森友学園のケースで以下のような報道を縁にさらに理解を深めて欲しい。
裁判所は、学園の不動産などの財産を管理するための保全管理命令を出し、担当の弁護士を選任しました。森友学園は、当面、幼稚園の運営を続けながら、裁判所の管理のもとで再建を目指すことになります。
民事再生法の保全管理命令の根拠条文は以下。
第七十九条 裁判所は、再生手続開始の申立てがあった場合において、再生債務者(法人である場合に限る。以下この節において同じ。)の財産の管理又は処分が失当であるとき、その他再生債務者の事業の継続のために特に必要があると認めるときは、利害関係人の申立てにより又は職権で、再生手続開始の申立てにつき決定があるまでの間、再生債務者の業務及び財産に関し、保全管理人による管理を命ずる処分をすることができる。この場合においては、第六十四条第三項の規定を準用する。
(2項以下略)
保全管理人の権限は以下。
第八十一条 保全管理命令が発せられたときは、再生債務者の業務の遂行並びに財産の管理及び処分をする権利は、保全管理人に専属する。ただし、保全管理人が再生債務者の常務に属しない行為をするには、裁判所の許可を得なければならない。2 前項ただし書の許可を得ないでした行為は、無効とする。ただし、これをもって善意の第三者に対抗することができない。
3 第四十一条の規定は、保全管理人について準用する。
さてこの場合、森友学園の執行部の「財産の管理又は処分が失当である」とされたのか、それともそれ以外で森友学園の「事業の継続のために特に必要があると認め」られたのか、いずれであろうか?
興味深いところではある。
それと、民事再生手続が開始されると、以下の訴訟は中断される(民再40条1項)。
工事を請け負った吹田市の建設会社は、未払いの工事代金が16億円以上に上るとして、これまでに、4億円余りを支払うよう求める裁判を起こしています。
まあ、それ以前に裁判所が命令すれば中止されるのではあるが(民再26条1項3号)
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