FRANCEの裁判官と検察官養成学校ENMの入学式
フランスでは、日本と異なり、司法官として裁判官と検察官とがひとまとめに養成される。その学校がボルドーにあるEcole Nationale Magistratureで、その入学式が行われた。
RENTRÉE DES 343 AUDITEURS DE JUSTICE DE LA PROMOTION 2017
入学者が343人ということだが、日本の裁判官・検察官の任官者数が多くても200人に届かないことを思うと、やはりフランスは司法権の規模が大きい。
ref. 日本の司法制度改革ではフランス並みの法曹人口をということだったのだが、弁護士数でもそこまでは行かないうちに失速し、司法官の数も半分以下となってしまった。
上記記事によると、343人のうち243人は試験による選抜組で、100人は他の職から転換する試験での選抜、またはコンセイユ・デタによる直接指名。その仕組みは司法省のサイトで解説されている。
ちなみに、行政裁判所の裁判官は全く別口で、ENAの卒業生から採用されるのが主だが、今は通常の司法官から行政裁判所裁判官にリクルートされることもあり、多様化している。
司法官学校入学者の平均年齢は28歳ということで、これは日本とあまり変わらない。大きく大きく違うのは、男女比だ。もともとフランスの司法は女性化 féminisation と呼ばれているのだが、今回の入学者に占める女性の割合は74%で男性の割合が26%しかない。
これでも女性割合は下がっているというからますます驚きだ。一時期は81%が女性で占められた年もあったようで。
以下のURLに入学者の詳しい状況PDFが公開されている。この中では、入学者の両親の職業の割合なども示されており、司法官の出身階層を推知することができて興味深い。日本では、こうした分析は全くされていないのかなぁ。
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