2014年のフランス結婚事情
2016年3月10日に公表されたINSEEの統計による2014年のフランス結婚事情は、テレビニュースでも取り上げられているが、Juris-classeurが以下のように紹介している。
2014年には、24万1292組の結婚式が挙げられた。前年比2700組の微増だが、同性婚許容の影響が認められる。2013年に対して2014年は、同性婚が3200組増加し、異性婚は逆に500組減少している。
結婚の平均年齢は、同性婚の場合、男性46歳、女性41歳である。2013年にはそれぞれ50歳と43歳だった。異性婚の場合、男性38歳、女性35歳となっている。
夫婦間の年齢差は、異性婚の場合4.3歳、同性婚の場合は男性同士が7.4歳で女性同士だと5.0歳となっている。
同性婚と異性婚では、同性婚の方が都市部に多いという統計もある。同性婚のうちの13%がパリで挙式しているのに対して、異性婚はその4%がパリで挙式されているにすぎない。
ちなみに上記の記事にはなかったが、テレビニュースでは同性婚の割合が4.4%を占めているという。
昨日、ポワチエのFuturoscopeにあるJuriscopeという比較法シンクタンクを訪れて主任研究員のHang氏と話す機会があったが、そこでも話題になったのが家族観。彼によれば、フランスでは家族が崩壊したという。
もっとも、崩壊という評価は必ずしも文字通りのものではない。伝統的な家族観が崩壊したというべきで、同性婚も含めた家族の絆は変わらず認められるし、ステップ家族が多くなってきたという点も、それが家族的なつながりを持たないということになはらない。
むしろ家族のあり方が大きく変わったし、単一のモデルではとらえられない多様なあり方が実現したという評価も可能である。
ちなみに、60年代から70年代までは、フランス社会も伝統的な家族観が強く、そこでは女性の地位も主として家を守るものという位置づけであった。それが大きく変わったことが事実としては認められる。
これには女性が家庭を守る存在から普通に社会で働く、あるいは社会的な活動をする存在として認められるようになり、均等な待遇に近づいたこと、法制度もそれを後押ししていることが要因としてあげられる。
その結果、フランスでは少子化・人口減少が食い止められているということも、事実として認められる。
これに対して伝統的な家族観が今なお強いといわれているドイツ、イタリアあたりは少子高齢化が止まらず苦しんでいる。
日本がどちらの道を選ぶのか、自明である。
なおフランスの家族観の変化については、同性婚以前だが、以下の本も参考になる。
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