テロ対策非常事態宣言とCOP21
テロ対策の非常事態宣言により、パリ周辺では一切のデモが禁止されており、これにはフランス人も批判的な声が大きい。
テロ対策で安全を確保するという名目で、市民の政治的な表現の自由を制約するのはお門違いだというわけである。
特に、今週末はパリ近郊で国連の気象会議COP21が開催され、この会議はいつも多数の環境保護団体が会場周辺に押しかけ、デモを繰り広げ、環境問題をないがしろにする国をやり玉に挙げてはプレッシャーをかけるのが通例である。ところが、テロ対策でデモが禁止されているから、これを無視したり、これに抗議したりと、いやがうえにも反発が高まっている。
下のビデオはレプュブリック広場の様子で、本来はここからデモ隊が出発するはずだったのが非常事態宣言で取り消されたことに抗議して、靴を集めて並べたものである。
非常事態宣言で多くの強制捜索が令状なしで行われることについても、批判の声はあるが、しかし無差別で行っているわけではないし、かなり多くの場合は武器の摘発などに結びついている。また危険が高い人物への電子監視装置義務付けも、あまり批判は聞こえてこない。
もちろん後日、批判の対象となることはありそうだが。
これに対してデモ禁止については、なんともおとなしく従っていられないのがフランス人というわけである。
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コメント
デモの禁止がどうとか、細かい事は人それぞれ意見があるだろうし、そんな小さな事の是非について議論することは正直どうでもよいことと思います。
フランスはISに対し空爆を行ったのだから、その報復があっても何ら不思議なことではない。その覚悟がなかったのか、報復なんてできないと安易に考えていたのかは知りませんが・・・。
ISの行動が許されるものでない事は明らかですが、キリスト教とイスラム教との歴史的な問題、今現在の世界的な格差の問題等、複雑な事柄が絡み合っている話な訳で、フランス1国の問題ではないですよね。NATOとしてISに戦争をしかけ完全に撲滅するか、イスラムの問題として基本的に関与しないか、どちらか決めるしかないと思いますが・・・。
PS
私は町村先生の教え子です。
覚えていますでしょうか。先生が小樽商科大学赴任1年目の町村ゼミの学生でした。当時のゼミ学生は私の他、唐沢、清水、菊池、金森等でした。
本当にお世話になりました。
投稿: 鈴木敏史 | 2015/12/09 22:34