今日のDroit civil から
大学一年生向けの民法の授業でも、色々発見があるし、意外とタイムリーな話題を振ってくれるので楽しい。
今日の授業では、人の死について扱ったが、その冒頭に出てきたのが Mort numerique、すなわちデジタルの死
その中身は、人が死んだらソーシャルネットに書き込んだデータはどうなるのか、死後に消去を請求することは遺族に可能か?
フェイスブックの例などを出して、生前に契約でデータはの帰趨を定めておくことは可能だが、死後にデータをどうするかを初めて請求するのは困難な課題だというのが先生の説明。
相続人に処分権があるのか、人格に関する権利はその人格が消滅した後どうなるのか、難題がたくさんある。
これを、いわば枕に、法的に死はどう定義されてどう扱われるかという問題に入っていった。
脳死の話なども出てくるので興味深いのだが、最も印象的だったのは、死後に結婚ができるかという問題。
日本法にはそんな規定はないと思うが、フランス民法典には死者と結婚する制度がある。
民法典171条 重大な正当事由があるときに、共和国大統領の許可を得て、死者と結婚式を挙げることができ、その効果は生前に遡る。ただし相続権は生じない。
なんのためにそんなことをするかというと、もうすぐ生まれそうな子供に、父との親子関係を生じさせるためというのが先生の説明だった。
日本の事例に引きつけて言うと、できちゃった婚をしようと用意していたところ、新郎予定者が急死してしまったような場合に使われるようである。
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