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2015/05/16

Tours裁判所ほか訪問

世界遺産「シュリー=シュル=ロワールとシャロンヌ間のロワール渓谷」のシャトー巡りの拠点に位置するトゥール、トゥールポワチエの戦いで有名であり、サンジャック・ド・コンポステルのフランスルートの一つとしても有名な都市だが、裁判所も立派であった。

Palaisdejusticetours


観光案内所から立派なSNCFの駅を左にみて大通りを進み、市役所の隣に裁判所が建っていた。
お決まりの手荷物検査を通過して中に入ると、ドーム状のホールの3方向に法廷があり、正面に重罪院と軽罪裁判所とを兼ねた法廷があった。
Courciviltours


この写真は、開いていた民事法廷を移させてもらったものだが、刑事法廷はサイズが倍くらいあり、現在開廷中で、被告人質問の最中であった。

法廷は正面の法壇が3人の裁判官と6人の陪審員とが座る椅子のある重罪院サイズの法廷で、そこに単独の女性裁判官が座っている。向かって左側の、裁判官と同じ高さの席に男性検察官が座り、その前に、被告人と同じ高さの席に私訴原告代理人の女性弁護士が座っていて、その向かい、すなわち裁判官に向かって右側の壇上には女性書記官二名、壇の下には男性弁護人が1人、座っている。
被告人が座る席は弁護人席の前で、身柄事件ではないようなので特に看守はいない。

尋問内容を聞いているうちに、交際相手に暴力をふるい、かつ、フェイスブックなどに名誉を貶める写真や書き込みをしたという、デートDVの事件であることが判明した。
裁判官が起訴された事実を読み上げて、なにか言いたいことがあるかというと、被告人は、そんなことは知らないJ'ai aucun idéeと否定する。
ただし、書き込みがなされたことは否定しがたい事実だが、なんでそんなことしたのかと聞かれても、知らないと答える。そのうちに、殴ったことは殴ったが、そんなに大したことではないし、直接怪我をさせたわけではないし、写真をアップしたのもふつうのコトだと言い訳を始めた。

そういうわけで裁判官の追及には全く平行線で終わり、検察官や弁護人、私訴原告代理人に質問はないかと促すと、検察官だけが、事実確認の質問をした。被告人は特に答えなかったが、弁護人が、取調べ記録に書いている内容を読み上げて答の代わりにしていた。

やがて、私訴原告代理人の弁論が行われ、検察官の論告が行われた。時間的にも昼を過ぎたので、そこで退席。

ロワールでは、このトゥールの他にソーミュールとブロアで裁判所に行ったが、いずれも前を見るだけで終わってしまった。ブロアの裁判所の正面には、正義の女神が、天秤をたたんで法律書と一緒に持つという変わった形であった。
Temisblois


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