○○条の規定は「暗に」削除されました by 法令集
レクシスネクシスが出しているフランスの民事訴訟法典の書籍に掲載されている裁判組織法典R461-2条からR461-5条の箇所には、「2010年10月15日のデクレによって暗黙のうちに implicitement 削除された」という注記があり、条文が載っていない。
一体、法令の条文が暗黙のうちに削除されるというのは、どういうことなのだろうか?
これがフランス流なのかと、瞠目する思いであった。
こういうときはフランスの公式サイトを見るべきと思い、Legifranceの裁判組織法典の該当部分を見ると、R461-2条からR461-5条は確かに存在しない。
それで、2010年10月15日のデクレというのを見に行ってみると、下記のような改正規定があった。
Les articles R. * 461-1 à R. * 461-5 du code de l'organisation judiciaire sont remplacés par les dispositions suivantes : « Art.R. * 461-1.-Dès réception d'une question prioritaire de constitutionnalité transmise par une juridiction, l'affaire est distribuée à la chambre qui connaît des pourvois dans la matière considérée. « La question peut être examinée par la formation prévue au premier alinéa de l'article L. 431-1 du présent code ou à l'article 567-1-1 du code de procédure pénale lorsque la solution paraît s'imposer. »
要するに、従前のR461-1条からR461-5条を以下の規定に入れ替えると規定し、以下の規定にはR461-1条のみを規定したものだから、R461-2条からR461-5条までの部分がどうなったのか不明瞭なままに残されたということである。
これはフランス人にとっても曖昧なやり方と感じられたらしく、それで「暗に」とか「言外に」とかの意味を持つimplicitementという形容詞をつけて削除されたと説明しているわけである。
日本だったら、「R461-1条は以下の規定に置き換える、R461-2条からR461-5条までの規定は削除する」と書くであろうし、フランスでもやはりそれが標準的なところ、担当官も上司もちょっとサボったというところであろうか。
ところでついでながら、フランス暮らしと仕事の法律ガイドは弁護士さんが書いたものだけあって、フランスの裁判制度について詳しく紹介されている。「暮らしと仕事の法律ガイド」というにはどうかと思うくらい、裁判制度に関する紹介が詳しい。
| 固定リンク
「フランス法事情」カテゴリの記事
- Arret:欧州人権裁判所がフランスに対し、破毀院判事3名の利益相反で公正な裁判を受ける権利を侵害したと有責判決(2024.01.17)
- フランス判決オープンデータ(ベータ版)(2023.02.22)
- 数字で見るフランス行政裁判所の2022年(2023.02.01)
- Book:フランス7つの謎(2022.11.04)
- ポワチエの新裁判所見聞(2022.09.14)
コメント