action:世田谷ナンバーは違法?
実に色んな訴えがあるものだ。
「ブランド力のある品川ナンバーを使えなくなる不利益や、住居地を特定されることでプライバシーや平穏な生活が侵害される」という区議さんが原告を代表して会見した。
そして請求は、損害賠償1円の請求だそうで、カネ目当てではないという。
世田谷区民が品川ナンバーを取れなくなるのが権利侵害だということだが、品川ナンバーを取得できるのは権利ないし法的に保護された利益なのかというのがまず問題だ。
加えて、プライバシーの問題は、世田谷区は富裕層の住む地域だから世田谷ナンバーになればドロボーに狙われやすくなるという問題も伴っているのであろう。しかし、それを使えることが権利だとまで言っている「ブランド力のある品川ナンバー」よりは、ブランド力が劣るのだから、かえって安全なのではないかと混ぜっ返したくなる主張だ。
いずれにしてもカネ目当てではないという訴訟は、司法の場で主張すべきことかどうかが疑問な場合が多い。このケースも、自己の被った損害を回復したいというような目的でないということであれば、これを主張する場は政治の場(議会・街頭、その他の表現の場)であろう。
まあこのように言ってしまうと、司法を政治的アピールの場として活用することの全否定と捉えられそうだが、全否定しないまでも、問題のある使い方であることは認められるべきである。
そして、この種のアピール型の訴訟の当否は、そのような問題性を認めつつもなお訴えを提起する価値があるかどうか、そうした較量によるのである。
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