jugement:仮執行宣言付支払督促があっても給付の訴えの利益はある。
仮執行宣言付支払督促を有する債権者が時効中断のために給付訴訟を提起したが,その一部に時効中断の必要が認められないときに,既判力を有しない債務名義に表示された債権の存在又は内容に争いがある場合には,同一の債権に基づき給付訴訟を提起する訴えの利益を認めるべきであるとして,訴えの利益を認めた事例
結論的には至極当然な判決であり、債務名義が二重になるといっても、既判力のない債務名義では請求異議により執行できなくなる可能性もあるのであるから、原則として、争いがあるかぎりは給付の利益を認めるべきである。
なお、新堂先生(判決文中ではなんと「新藤幸司」となっていたが)編集の注釈民訴では異説が唱えられていたようである。
面白いことに、この裁判所は中間判決的な見解披瀝をしたらしい。
以上について,当裁判所は,第4回口頭弁論期日において,「本件訴えの利益についての裁判所の見解としては,判例によると,一部請求であるということが明示されている場合はその明示された部分について時効中断効が生じるということであるから,被告Cが相続したE銀行に対する主債務の4分の1については時効中断効が生じる。そうすると,被告A及び同BのE銀行に対する本件債務の4分の1については,訴えの利益はないと思料する。」と述べたが,これを改めるものである。
中間判決だと自己拘束力が生じてしまうので、このような中途半端な見解披瀝にとどめておいて正解だったといえる。
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