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2014/06/19

arret:外国判決の執行判決を求める訴えと国際裁判管轄

最判平成26年4月24日PDF判決全文

本件は、アメリカ・カリフォルニア州連邦地裁において技術情報の不正開示・使用差止めの訴えを提起し、認容判決を得た者が、その執行判決を日本で求めたものである。

外国判決の日本国内での執行については民事執行法24条が以下のように定めており、本件はこれに基づく請求だ。

(外国裁判所の判決の執行判決) 第二十四条  外国裁判所の判決についての執行判決を求める訴えは、債務者の普通裁判籍の所在地を管轄する地方裁判所が管轄し、この普通裁判籍がないときは、請求の目的又は差し押さえることができる債務者の財産の所在地を管轄する地方裁判所が管轄する。

2  執行判決は、裁判の当否を調査しないでしなければならない。

3  第一項の訴えは、外国裁判所の判決が、確定したことが証明されないとき、又は民事訴訟法第百十八条各号に掲げる要件を具備しないときは、却下しなければならない。

4  執行判決においては、外国裁判所の判決による強制執行を許す旨を宣言しなければならない。


民事訴訟法118条とは外国判決証人要件を定めたもので、その1号に「法令又は条約により外国裁判所の裁判権が認められること。」とある。

そこで、本件についてアメリカの連邦裁判所に裁判権が認められるかどうかが、承認執行の要件となる。これを間接管轄という。

原審は、本件が不法行為に基づく訴えであるため、アメリカに管轄権があるというためにはアメリカが不法行為の少なくとも損害発生地である必要があるところ、本件ではそのような証明がないとして、間接管轄権を否定した。

最高裁は、この判断を誤りとしたのである。
いくつか、基本的な事項の確認もなされており、判決文を読むことをおすすめするが、大要以下のような内容である。

人事に関する訴え以外の訴えにおける間接管轄の有無については,基本的に我が国の民訴法の定める国際裁判管轄に関する規定に準拠しつつ,個々の事案における具体的事情に即して,外国裁判所の判決を我が国が承認するのが適当か否かという観点から,条理に照らして判断すべきものと解するのが相当である。

民訴法3条の3第8号及び5条9号の不法行為地の裁判籍は、民法所定の不法行為に限られず、「違法行為により権利利益を侵害され,又は侵害されるおそれがある者が提起する差止請求に関する訴えをも含む」。
その際の不法行為地とは、「違法行為が行われるおそれのある地や,権利利益を侵害されるおそれのある地をも含む」。
不法行為に基づく損害賠償請求訴訟の場合,原則として,被告が日本国内でした行為により原告の権利利益について損害が生じたか,被告がした行為により原告の権利利益について日本国内で損害が生じたとの客観的事実関係が証明されれば足りる

このことは間接管轄を認める場合も同様であり、現実に損害が生じたとは限らない侵害または侵害のおそれを対象とする差止請求の場合の不法行為地については以下のように解される。
仮に被告が原告の権利利益を侵害する行為を判決国内では行っておらず,また原告の権利利益が判決国内では現実に侵害されていないとしても,被告が原告の権利利益を侵害する行為を判決国内で行うおそれがあるか,原告の権利利益が判決国内で侵害されるおそれがあるとの客観的事実関係が証明されれば足りるというべきである。

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