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2014/03/26

mediation:調停事件数推移の不思議

司法統計年報をいじると、色々面白いのだが、最近事件数が減っているというのは否定しがたい事実である。
しかし、それにしても解せないのか、調停事件数の推移だ。

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このグラフで見られるように、過払い金バブルとその崩壊が訴訟の新受事件数を左右していることは明らかだ。
ところが、簡裁の調停事件に関しては、この過払い金バブルとは全く関係なく、10年間右肩下がりで、10年前の10分の1に落ち込んでいる。
なぜこんなにも簡裁調停事件が減っているのだろう?

もっと不思議なのは地裁調停事件だ。このグラフでは数が少な過ぎて見えないが、地裁超低事件だけを取り出してみるとこうなる。

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2010年から急増し、2011年に1万件超えを記録して、また下がっている。
なにか特別な事件バブルがあったのだろうか?

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コメント

簡裁調停の減少は特定調停の減少ですね。司法研究「簡易裁判所における民事調停事件の運営方法に関する研究」19p参照

投稿: くまちん | 2014/03/26 23:11

過払金返還請求事件について、判例タイムズ1325号(2010年8月15日号)には「過払金返還請求事件の効率的審理の在り方について(共同提言)」なる論文が掲載されており、そこでは、「第3 判決によらない解決を目指した審理の促進」として「1 付調停の活用」が推奨されています。さらに、同号には「過払金返還請求訴訟の付調亭事件の実情等について」、「仙台簡裁における不当利得金(過払金)返還請求訴訟事件の付調停積極活用の実情」なる論文がそれぞれ掲載され、過払金返還請求事件における付調停の積極的活用事例が紹介されています(上記論文は別冊判例タイムズ33号、2011年10月10日号にも収録されています。)。上記論文は直接的には簡裁における運用を紹介したものですが、判タ誌の影響で、地裁においても、過払金返還請求訴訟において付調停事件が増加したのかもしれません。

投稿: あほ | 2014/03/27 01:01

簡裁調停が減っているのは単純な話で、過払バブルの裏です。要するに、それまでは債務整理のための特定調停で件数が増えていたのが、過払金返還請求訴訟にシフトしただけのことです。最近では過払金返還請求訴訟が落ち着いて、簡裁レベルの貸金返還請求訴訟が増えてきているようですけれど。
地裁調停は・・・よく分かりません。最初から地裁で調停というのはあまりないので、地裁訴訟から付調停というパターンが多いような気もしますが、その頃に急増して急減したというのは、なんでしょう・・・もしかして過払金返還請求訴訟からの付調停かしらん(根拠無し)。

投稿: えだ | 2014/04/02 22:21

地裁調停についての追記。
地裁での過払金返還請求事件で、原告と被告との間に合意ができたものの、被告側に代理人が就かない場合、訴訟の終わり方としては、(1)訴訟外で和解をして、和解金入金後に原告が訴えを取り下げる、(2)裁判所が和解条項案を被告に送って、被告代表者名で受諾書面を返送してもらって期日で和解を成立させる、という方法の他に、(3)調停に付して17条決定をして、確定をもって訴え取下げとみなす、という方法があります。
もしかすると、これで付調停が増えたのかもしれません(かつては(1)の方法が多かったのですが、ある時期から債務名義化することを希望する当事者が多くなった感触があります。)。そうだとすれば、調停件数の減少は過払金返還請求事件の減少の影響だと思います。
ちなみに、簡裁の場合は、付調停から17条決定という方法よりは、訴訟のまま和解に代わる決定の方法を用いることが多いようですが。

投稿: えだ | 2014/04/02 22:32

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