example:自分たちの不都合な出来事を隠そうとする人たち
朝日デジタル:海自、いじめ自殺告発者の懲戒検討 文書持ち出し問題視
特定秘密保護法の審議中、懸念されたことの一つが、行政庁が不祥事を隠ぺいするために秘密保護法制を濫用するのではないかということで、特に隠蔽に従わない者=内部告発者を罰するために使うのではないかということであった。
そしてそれは杞憂ではなく現実の脅威であることが、上記の記事に示されている。
海上自衛隊の護衛艦「たちかぜ」乗組員の自殺に絡み、「いじめを示す調査文書が隠されている」と内部告発した3等海佐(46)に対し、海自が懲戒処分の手続きを始めた。遺族らに「捨てた」としていた海自は告発後、原本が見つかったと謝罪していた。特定秘密保護法で行政機関の情報隠しが懸念される中、秘密でもない文書への内部告発まで萎縮させる隠蔽(いんぺい)体質が、改めて浮かび上がった。
事件の経緯についてはBLOG「護衛艦「たちかぜ」自衛官いじめ自殺事件」に詳しい。
もう10年も前の事件について、その後の司法手続でたちかぜ内ではいじめが日常茶飯事だと認定され、また自殺した隊員に名指しされた二曹は懲戒免職、上記のアンケート記録隠蔽は上官の処分もなされて、決着がついたはずだった。
にも関わらず、内部告発をした海佐に対して、記録持ち出しを捉えて処分を検討するというのは何のためなのか、理解しづらい。
特定秘密というのがどの程度の精度で指定されるかにもよるが、自殺の原因究明に行った内部調査記録も、自衛隊の内部情報として高度な機密事項に含まれるとされる可能性はある。その場合は、そうした資料を元に内部告発することは出来なくなる。そしてとにかく隠ぺいすることは善だと考えている人たちが運用する以上、そのような濫用の危険は杞憂ではなく、しかもバレバレでもしらを切り通すということで結局真相が明らかにならないまま有耶無耶となるおそれもある。
特定秘密保護が必要だということを認めたとしても、それとは別に、濫用防止がいかに大事かを物語るのである。
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