police:警察ぐるみの犯罪
警察官の犯罪は、痴漢とか盗撮とかでも格別の寛大な扱いがされるのが常のようだが、職務に関連する犯罪行為はそもそも犯罪とみなされないことが多い。
そのノリで、被疑者を殴ったり不法監禁したり、さらには証拠を捏造したり偽証したり。言ってもいないことを調書に書いて署名を強要したり。
それが表沙汰になったのが前田フロッピー事件(村木さん冤罪事件のスピンオフ版)だが、それ以来、世の中は少し変わったかもしれない。そんな変化を伺わせるニュースが現れた。
今年4月に塩尻市の男性が無罪判決を受けた窃盗の裁判で、塩尻警察署の33歳の巡査部長が偽証していた疑いで、長野地方検察庁に書類を送られた。この巡査部長に偽証を指示した共謀の疑いで上司2人も書類送検されてた。
昔はこういう偽証事件てほとんど立件されず、むしろ悪い奴を懲らしめるためには必要だとさえ考えられていたように思うが、そういう意識下では起こりえないのが偽証の刑事立件である。
弁護側の偽証は疑いがあれば公判中でも取り調べるわけだが。
もう一件は、裁判所が少しまともになったかと思わせるニュース。
違法捜査認め無罪判決 静岡地裁、覚せい剤事件で
村山浩昭裁判官は同日の判決公判で、静岡県警の捜査員が家宅捜索の際に男性を殴ったり、逮捕の手続きを取らないまま身柄を長時間拘束したりする違法捜査をしていたと認定。検察側の男性の尿の鑑定書についても、長時間拘束中に尿の任意提出を受けていたとして証拠から排除した。
もちろん違法収集証拠の排除は戦後刑事訴訟法の下でずっと認められてきた法理であり、目新しいものではないが、余程のことがない限り問題とされず、証明できたとしても証拠排除まで結びつくのは珍しい。
必罰の信念が強すぎて、罰の前提の事実認定までも歪めて罰を与えなければならないという発想から、事実認定が怪しければ罰を与えるべき場合かどうか分からんぞという当たり前の発想に、立ち戻る兆しであることを祈りたい。
| 固定リンク
「法律・裁判」カテゴリの記事
- Arret:欧州人権裁判所がフランスに対し、破毀院判事3名の利益相反で公正な裁判を受ける権利を侵害したと有責判決(2024.01.17)
- 民事裁判IT化:“ウェブ上でやり取り” 民事裁判デジタル化への取り組み公開(2023.11.09)
- BOOK:弁論の世紀〜古代ギリシアのもう一つの戦場(2023.02.11)
- court:裁判官弾劾裁判の傍聴(2023.02.10)
- Book:平成司法制度改革の研究:理論なき改革はいかに挫折したのか(2023.02.02)
コメント
えーと、覚せい剤の自己使用事案で違法収集証拠排除で無罪という判決は、これまでもぽつぽつあったように記憶しておりますが・・・判例誌をまめに見ているとたまに見かけます。
投稿: えだ | 2013/11/25 22:01
ご指摘の通り、ぽつぽつとはありました。でもほとんど認められないといって良い程度かと思いますが。
投稿: 町村 | 2013/11/25 22:54