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2013/10/05

event:次の法哲学会で田中耕太郎・米内通問題が俎上に

日本法哲学会プログラムpdfによれば、「司法権の独立と司法による自然法の実践」というテーマで、砂川事件上告審の裁判長であった田中耕太郎長官のアメリカへの内通問題(敢えてそう書くが)を取り上げるワークショップが開催される。

日本の最高裁長官が、日米安保条約に伴う法令の違憲性を審理するに際して、その審理の状況をアメリカの駐日大使と都合3回も打ち合わせをしていたという最悪級のスキャンダルだが、それが法哲学の学会で取り上げられるのは、一つには田中耕太郎氏が法哲学会の初代理事長だったということもある。

日本政府も最高裁判所もこの最悪級のスキャンダルについては、もう黙殺の構えのようだが、世が世なら任命権者の天皇が何らかのコメントをしても良いくらいの出来事である。もちろん天皇の国事行為は天皇自身の責任において行われるわけではないので、その助言と承認をした内閣が任命責任を負うべきものだ。しかしこの件については現在に至るまで、内閣はアメリカに内通した最高裁長官とグルというか、反省するはずもない政治的地位であって、期待すべくもないる

ということで現在の政治セクターがこの問題をまともに取り上げ、検証するということは全く望み薄なのだが、学者セクターからもこの問題をまともに取り上げる動きは表面化してこなかった。

そうした中で、法哲学会のワークショップは、極めて興味深い。

開催趣旨を記したプログラムの文書によれば、田中耕太郎氏の法哲学の実践という側面から分析するということである。

タイトルだけ見たときは、自然法の実践としてアメリカに内通する最高裁長官ということで、田中長官のいう自然法(あるいは神)は、実はアメリカ政府・軍という具体的な権力に具現化されていました、という話かと思ったのだが、存外まともに取り上げるワークショップのようで注目である。

今回の法哲学会のプログラムは、この他に統一テーマとして「民事裁判における暗黙知---法的三段論法再考」という魅力的な題目も掲げられている。これについては別エントリで。

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