Bankruptcy:破産予納金の国庫仮支弁、初適用
毎日jp:偽装質屋:業者に保全命令 立て替え制度初適用 福岡地裁
年金を担保に違法な高金利で貸し付ける「偽装質屋」を巡る事件で、福岡県の被害者弁護団は30日、被害者の申し立てを受けて福岡地裁が業者2社に保全管理命令を出したと発表した。弁護団によると、申し立てに必要な被害者側の「予納金」については、国が立て替える「国庫仮支弁(かりしべん)制度」が国内で初めて適用された。消費者が被害者になる詐欺事件では高額の予納金が納められず申し立てを断念する例もあり、弁護団は「被害者のスムーズな救済につながる」と評価している。命令は26日付。業者2社は恵比寿(福岡市博多区)とダイギンエステート(同)。貸金業法の上限利息は年20%で、年金を担保にした貸し付けを禁じている。2社は安価な品物を質入れさせて多額の金を貸し付け、客の年金口座から元本と利息分を回収したとして、福岡県警が昨年10月、貸金業法違反容疑で家宅捜索に入った。
被害者21人が今年2月、保全管理命令や破産手続きの開始を申し立てていた。既に保全管理人のもとで資産が凍結されており、今後、破産手続きの開始が決まるとみられる。弁護団は約1万人が約80億円の貸し付けを受けていたとみている。
消費者に対する詐欺的な商法で荒稼ぎする連中は、最後は行方をくらませて、会社の資産を持ち逃げする。
そうなる前に、被害者が債権者として、詐欺会社に対する破産手続開始を申し立てるということが考えられる。
破産手続開始決定前にも、保全命令を得て保全管理人が詐欺会社の財産を保全出来れば、多少なりとも被害者に賠償をすることができる。
その場合に最大のネックとなるのが、予納金である。
この予納金は、いずれ返ってくるお金ではあるが、それでも当初用意するには重荷であり、そのことが消費者被害回復に破産手続を用いるという方策の妨げとなってきた。
ところが破産法には以下の様な条文がある。
(費用の仮支弁) 第二十三条 裁判所は、申立人の資力、破産財団となるべき財産の状況その他の事情を考慮して、申立人及び利害関係人の利益の保護のため特に必要と認めるときは、破産手続の費用を仮に国庫から支弁することができる。職権で破産手続開始の決定をした場合も、同様とする。 2 前条第一項の規定は、前項前段の規定により破産手続の費用を仮に国庫から支弁する場合には、適用しない。
この規定に基づく仮支弁は、しかしながら、例がない。今回の福岡の事例は、その意味で画期的ともいうべき例である。
ただし、それで本当に消費者被害回復が可能となるのか、もっと早い段階での保全が出来ないのかなど、現実に被害回復に必要な財産を保全できるのか、疑問は多々ある。
しかし、まずは第一歩であろう。
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コメント
こういうのは弁護士側、裁判官側だけでなく、裁判所書記官の事務方の処理手順も公開されるようにならないと広まらないです。
投稿: こういうのは | 2013/05/30 01:26