Opera de Lyonの法廷弁論
法廷弁論大会は、まずロベール・バダンテールその人の解題から始まった。ビクトル・ユゴーの小説から、現実のクロード・グューの事件の経過、オペラの話、特に現代においてオペラを作ることの困難など。
ついで司会者が裁判長となって事件を説明した。
貧困の内に妻子のために盗みを重ねて刑務所に入り、殺人を犯してしまったというもの。
続いて男性の検察官と男女ペアの弁護人が、順次論告と弁論を行った。
検察官の論告は比較的単純で、盗みの罪を重ね、更生のために刑務所に入ったのに、逆に殺人まで犯したのだから情状の余地がないから、死刑を求刑するというもの。
対する弁護人は、イケメンの兄ちゃんが一人で弁論していた。いきなり声を張り上げて「パルスク、」と始めた芝居っ気に、会場から笑いが漏れた。内容は、貧困から、生きるために罪を重ね、刑務所の低劣な環境の中で殺人を犯すまで追い詰められたのは、自由意思によるものとは言えないし、豊かな検察官にそのことを責める資格はないというもの。
弁論終了後、審査員が審査に入っている間、審査のやり方を弁護士会の主催者が説明。
法廷弁論の評価基準は第一に声の調子、ジェスチャー、論旨の明確さ、一般的文化性、確信の強さ。これらの点について双方の弁論が終わってから項目ごとに観客の質問や意見を求め、挙手で投票させている。質問内容や意見を聞くと、一般の人がかなり入っていて、面白い。
曰く、検察官役は年齢が高くて賢そう、弁護人は若すぎて頼りないわね、とか、弁護人は男女ペアなのになんで男だけしゃべるんだ、とか。すでに廃止された死刑の是非にも踏み込むものだけに、内容的な明確さや確信の強さなどは判定不能だという意見に拍手が湧き上がっていた。
一般来場者は弁護側に軍配をあげたが、審査員は全員一致で検察側をう優勢とした。
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