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2012/12/12

jugement:主観的予備的併合を適法と認めた事例

主観的予備的併合は、最高裁がダメだといい、これを受けて現行民訴法は41条の同時審判の申出という制度を作ったので、もはや認める余地がないとする見解が一般的だが、なお有効な場合があるという説もある。

以下は、別の調べ物をしている過程で見つけた判決で、主観的予備的併合を適法と認めている。

東京地判平成24年1月13日(平21(ワ)46434号 ・ 平23(ワ)17419号)WLJ

事案は以下のとおり。
 金融マンである原告は、平成18年に証券会社Y1にデリバティブ担当として入社したが、社内では上手く行かず、平成21年10月には労働審判を申し立てて賞与の支払いなどを求めていたが、審判が棄却された後、平成22年6月2日付けで解雇された。
 その後、平成23年1月21日にY1はY2に事業譲渡する契約を結び、5月に譲渡が実行された。
 そして、本件提訴後の平成23年6月15日付け準備書面(7)をもって、Y1はXを改めて解雇した。

こうした事実関係においてXは、主位的に、Y2に対して従業員たる地位の確認と未払い給料の支払いを求め、仮に主位的請求が認められないとすれば、Y1に対して従業員たる地位の確認と未払い給料の支払いを求めて提訴した。
ただし、実際の経過としてはY1にまず訴えを提起し(甲事件)、後に事業譲渡がなされたので、Y2に対する訴えを追加し(乙事件)、Y1に対する訴えを予備的請求としたものと思われる。

この主観的予備的併合は判例上認められないとされているので、裁判所は職権で以下のような判示をした。

本件予備的請求に係る訴えは,本件主位的請求が認められないことを条件としたものであって,この点だけを捉えれば,いわゆる訴えの主観的予備的併合に当たり,その適否が問題となる。  確かに,前掲最高裁昭和43年3月8日第二小法廷判決が指摘するとおり,主観的予備的請求の被告とされる者(予備的被告)にとっては,その請求の当否についての裁判がされるか否かは他人間の訴訟の結果いかんによることとなるわけであって,応訴上著しく不安定,不利益な地位に置かれることになり,こうした併合の形式は原告の保護に偏するものであるから,原則として許されないものと解するのが相当である。  しかし,本件予備的請求の相手方当事者である被告会社1は,当初から本件訴訟(甲事件)において相手方たる当事者として訴訟追行の機会を十分に与えられていたものであって,この点からいうと訴えの客観的併合の場合における被告と格別異なるところはなく,当初から,後に自らに対する請求の当否が判断の対象とされた場合に備え,同一の訴訟手続内において当事者として関与し,防御権を行使することができる地位にあったものということができる。してみると本件のような訴えの併合を適法と解したとしても,通常の訴えの主観的予備的併合とは異なり,予備的被告の地位にある被告会社1にとって応訴上著しい不安定ないしは不利益をきたすおそれがあるとまではいい難く,これを適法なものと認めても原告の保護に偏するものではなく,むしろ審理の重複や判決の矛盾を最小限に抑え,紛争の一回的解決に資するものと考えられる。  そうだとすると前掲最高裁判決の射程は,本件のような主観的追加的予備的併合の場合には及ばないものと解され,よって,本件予備的請求に係る訴えは,適法である。

なかなか興味深い。

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