jugement:権利能力なき社団が「消費者」と認められた事例
東京地判平成23年11月17日判タ1380号235頁
大学のラグビークラブが合宿のために宿泊予約をしたが、新型ウィルス患者が出たために前日にキャンセルを入れた。
その場合のキャンセル料について、消費者契約法9条の制限が適用されるかどうかが問題となった事例である。
そもそも消費者契約法には、消費者を「個人(事業として又は事業のために契約の当事者となる場合におけるものを除く。)をいう」と規定しており、大学のラグビークラブのような団体はむしろ「法人その他の団体及び事業として又は事業のために契約の当事者となる場合における個人」と定義される事業者に該当しそうである。
なおこの事件のラグビークラブは、権利能力なき社団として被告となっている。
さて、東京地裁は、団体が事業者とされるのは、消費者との関係において情報の質及び量並びに交渉力において優位に立っているからであって、「権利能力なき社団のように、一定の構成員により構成される組織であっても、消費者との関係で情報の質及び量並びに交渉力において優位に立っていると評価できないものについては、「消費者」に該当する」と判断した。
なかなか大胆な解釈と思われるが、落合誠一教授の下記文献でもそうした趣旨が述べられているという。
さらに、消費者契約法9条1項の平均的損害については、実際の損害と評価できるところを算定し、100%のキャンセル料120万円のうち、食材費や光熱費、アメニティ費用など17万円余りを控除した79万円強を平均的損害と認め、それを超える部分は不当利得と認め、さらに楽天トラベルへの取り扱い料金を除いて、7万円強の返金を命じたのである。
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