law:日本法データベース比較
今日はWestlaw Japanの担当者の方に来ていただき、法情報学の授業でデータベースの使い方講習をしていただいた。
これで、先週のTKCと、昨日私が自分でやったD1-Law、それにWestlaw Japanと、北大ロースクールで使える3大データベースの説明を集中的にしたことになる。
学生たちの反応は、WLJの方には申し訳ないが、やはり学習支援システムとタイアップしたTKCに馴染んでいることもあり、TKC使いやすいという声が強かったし、実際にもログインすると大学事務からのお知らせが出る画面に行くわけだし、VPassとの連携は便利なものである。
ま、VPassは有斐閣の資源であってTKCの資源ではないのだが、学習ツールとしては必携の判例百選シリーズ等との連携がロースクール生にはアピールしている。
しかしデータベースの作りこみ方としては、West社の伝統に培われたノウハウが随所に現れるWestlaw Japanも優れており、この点は学生の評価も高かった。
とりわけ、判例の重要性格付けによる検索結果のソートとか、極めて実践的だ。
この点は前回のエントリでも述べたように、膨大な検索履歴のログを、いわばビッグデータとしてマイニングすることにより、判例としての重要性分析に結びつけるといった工夫に発展していくと更に良くなる。
判例としての意義を、法律学の学習という観点から格付けする場合と、実務上の重要性という観点から格付けする場合とでは、おそらく評価基準が異なるに違いない。学習の重要性という点では、宇奈月温泉事件とか雲右衛門浪曲事件とかあるいは大阪空港騒音訴訟の大法廷判決とか、そういうのが重要になるが、法律実務としては、それらは背景知識としての常識ではあっても頻出事件処理の準則としては役に立たないかもしれない。分野によっても異なるが。
そうした格付けには、やはり専門家の目が必要だし、専門家の利用ログも有用であろうと思う。
ところで文献データベースとしては、残念ながらWestlaw Japanは一歩遅れている。法律時報の文献月報を使っているTKCや法律判例文献情報を用いるD1-lawと、著者名で検索して比較してみると一目瞭然である。
町村泰貴 W86件 D109件 T116件
多産な同僚 W166件 D176件 T171件
私の記録だけでは面白く無いので、非常に多産な同僚の名前も使ってみた。すると、やはりWestlaw Japanは水を開けられている。
面白いことに、私の場合TKCの文献月報データベースの方が法律判例文献情報よりも多いのに、多産な同僚の場合はその逆となっている。その原因はよくわからないが。
ともあれ、ロースクールが縮小することが確実視されている中で、データベース業界の生き残りも厳しくなるだろうし、その厳しい競争の中でさらに良いものに発展していくと、ユーザーとしては嬉しい。
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コメント
×伊奈月
○宇奈月
投稿: ヴェポラップ | 2012/04/22 01:12
ご指摘ありがとう御座います。
修正しておきました。
投稿: 町村 | 2012/04/22 09:27