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2012/02/16

arret:電子モールは出店者の商標権侵害に責任を負うか?

重要判断である。

知財高判平成24年2月14日判決全文PDF

問題となった商標は「チュッパ チャプス」、 「Chupa Chups」であり、判決文にはカラーで各種表示が記載されている。

ChuoriginalChufake1Chufake2

写真のうち、一番左のものが原告の登録商標であり、よだれかけやボストンバッグはニセモノである。

問題は、商標権侵害のニセモノを出店者が電子モール上で売っているのに対して、電子モール運営者は商標権侵害の責任を負うか、差止請求を受けたり損害賠償責任を負うかという問題である。

知財高裁は以下のような一般論を述べて、原則として責任を負う可能性を認めた。(判決文99頁付近)

ウェブページの運営者が、単に出店者によるウェブページの開設のための環境等を整備するにとどまらず、運営システムの提供・出店者からの出店申込みの許否・出店者へのサービスの一時停止や出店停止等の管理・支配を行い、出店者からの基本出店料やシステム利用料の受領等の利益を受けている者であって、その者が出店者による商標権侵害があることを知ったとき又は知ることができたと認めるに足りる相当の理由があるに至ったときは、その後の合理的期間内に侵害内容のウェブページからの削除がなされない限り、上記期間経過後から商標権者はウェブページの運営者に対し、商標権侵害を理由に、出店者に対するのと同様の差止請求と損害賠償請求をすることができる

要するに(1) モールの出店者に対する管理支配、(2)出店者からのモールの利益、(3)商標権侵害の認識可能性、(4)合理的期間内に削除しない、という四要件の下で、モール運営者も商標権侵害の責任を負うというわけだ。

このように考える理由として知財高裁は、モールの有用性、商標権侵害の認識困難、具体的認識後は刑事責任も科されうること、利得の存在、結果回避可能性などから、商標権者から指摘があれば調査義務が生じるという。
また間接侵害を認めた商標法37条は、その場合のみに責任を限定する趣旨には解せないとも指摘している。

 で、具体的に被告である楽天市場が本件侵害行為を具体的に知ったと認められるのは、出店者によって異なるのだが、最も長く展示された商品について具体的に知ったといえるのは本件訴えの訴状を受領した時であり、その時から8日で削除がなされているのだから、合理的期間内に削除したといえ、上記要件(4)を満たさない(消極要件だとすれば、逆に抗弁として成り立つ)として、楽天市場には商標権侵害の責任を問えないと判断したのである。

 電子モール事業者は、ともすれば単なる場所貸しであると主張し、出店者の行為に一切責任を負わないというスタンスを貫こうとするが、それはモールが出店者にどれだけ関わりを持つかということにも関係してくる。手間をかければかけるほど、モール自身が売主と同様の立場に立たされやすい。そして手間をかけることで利益も得ているのだから、それは当然のリスクでもある。

 この判決、最高裁に上告されるかどうか分らないが、仮に確定して先例となった場合でも、商標権侵害事例にのみ射程が及び、その他の出店者の違法行為と被害者に対するモールの責任一般に当然に当てはまるわけではない。
 しかし、基本的な考え方は商標権侵害かどうかに関わらないのであるから、他の違法行為でも同様の考え方が成立する余地がある。例えば、消費者保護法規違反の行為を電子モール出店者がしていて、そのことをモール事業者が知っていたという場合など、同様の考え方で、合理的期間内の対処が義務として要求され、その義務を尽くさないモール事業者は被害を受けた消費者に賠償責任を負うということもありえよう。

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コメント

これぞまさしく札幌は札付きの街で無法地帯。

投稿: 佐々木実之 | 2012/02/16 21:48

↑の意味は、http://blog.houso.com/?eid=427173 です。

投稿: 佐々木実之 | 2012/02/16 21:52

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