jugement:URLを非公開にすれば秘密管理性があるか?
原告は次のように主張している。
乙2のプログラムは,原告が契約しているサーバ管理会社のホスティングサーバ内に保管されており,このプログラムにアクセスするためには,インターネットにおいて,乙2のURLアドレスを使用して乙2のプログラムが格納されたファイルにアクセスする必要がある。しかるところ,乙2のURLアドレスについては,公開されている他のウェブページにリンクされていたり,インターネット検索サイトに登録されるなどといった公開のための措置は講じられていないから,原告 以外の者はこれを知り得ず,乙2のプログラム及びそのソースコードに アクセスすることはできない。
したがって,乙2のソースコードは,原告が秘密として管理する情報であって,公然と知られていないものである。
要するにURLさえ公開していなければ、特にアクセス制限を掛けていないウェブページに載せていても、秘密管理性があるという主張だ。
残念ながら、この判決では被告が乙2という原告の営業秘密だと主張するプログラムにアクセスしてダウンロードした事実が認められなかったから、不正競争行為との主張が通らず、請求棄却になってしまった。従って上記の論点が判断されることはなかった。
しかし、普通はトンデモな主張ではなかろうか?
私も、仲間内だけで見ようという写真とかをウェブページに載せて、URL非公開だから大丈夫だよと言って仲間の間で共有することはある。
それで何が大丈夫なのかといえば、差当りはURLを知っている人だけがアクセスするだろうから、全く知らない誰かがアクセスする可能性は低いということであって、低い可能性でも長時間放置しておけば確率は高まる。
偶然でも公開したくないデータは、やはりパスワード管理がされた領域に載せて、共有すべき相手にはそのパスワードを伝えることだろう。
あるいは、UNIXの公開範囲で制限するか、グループウェアを使うか。
それでもリスクはあるので、情報漏えいが重大な結果を招くようなものは一般向けのホスティングサービスには載せず、勤務先で提供しているものとか、とにかく秘密だと言っている先が責任を負うサーバにしか載せない。
営業秘密の要件論としての秘密管理性は、結構厳しいので、その情報の在り処を知っている人なら誰でもアクセスできるけれども、それを知らない人はアクセス出来ないという程度では、認められないのではないか。社内の鍵のかからない引き出しに入れておいたというだけでは、秘密管理性が満たされたとは言い難いというように
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