arret:不調後の審判事件に「なお書き」
この事件は、詳細が全く分からないのだが、ともかく特別抗告審としては憲法解釈の誤りに関係のない法令違反の主張であるから却下するというのが判断の内容だ。
しかし、「なお書き」として傍論が示されており、実質的に判示事項となっている。
なお,抗告人が東京家庭裁判所立川支部に申し立てた調停事件(同裁判所同支部平成21年(家イ)第2368号)のうち財産分与及び年金分割を求める部分は,家事審判法9条1項乙類に掲げる事項に該当し,又は同事項とみなされるのであって,同事項に該当しない他の家庭に関する事項と併せて調停の申立てがされた場合であっても,抗告人が調停不成立のときに審判への移行を求める意思を有していないなど特段の事情がない限り,その事件名にかかわらず,家事審判法26条1項に基づいて審判に移行するものと解される(この場合に,申立ての手数料に不足があるときは,これを追加して納付することを要する。)。
なお書きに加えてさらに括弧書きも付加されており、下級裁判所に対する丁寧な指導がなされている。
このなお書きと、それから事件名「審判期日を指定しないことに対する抗告却下決定に対する特別抗告事件」から想像するに、東京家裁立川支部に婚姻関係解消後の財産分与等の調停申立をしたが、不調となったにもかかわらず、審判へ移行するものとは扱わずに調停手続終了をもって事件も終了したものと扱ったのに対し、審判期日指定申立てをして、これを立川支部が却下したということであろうか。
そして抗告・特別抗告と進んだのであろう。
最高裁の上記なお書き見解によれば、審判事件が依然として係属している状態ということになるので、立川支部は、改めて審判期日を指定しなければならないことになる。
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