consumer:卒業式の中止と貸衣装レンタルの帰趨
大学の卒業式が地震の影響で次々中止に追い込まれている。
極めて大口の早稲田が中止を発表したのに続き、慶應、一橋、上智、筑波大も中止、そして東大は総代だけ集めて学位記授与式を行い、一般の学生父母は集まって祝うことができない。
その他、エア卒業式と称してツイッターで集まって卒業式をやるところや延期したところなどが多数報じられている。
そうなると、気になるのは卒業式のために準備してきた着物や袴などの貸衣装である。
一般に、卒業式のための貸衣装レンタルは、半年から一年前から予約されているもののようで、当然のことながら新品は高く、オーダーメードは高く、中古は安い。
そして卒業式シーズンは限られているため、キャンセルはキャンセル料がかかる。気に入った一品を予約により長期間抑えておくので、キャンセル料も結構高く設定されている。
平時でも、そのキャンセル料設定が妥当なのかどうか、消費者契約法上、平均的損害を上回るキャンセル料ではないのかということが問題となりうる。
ところが今回のような大学側の事情でキャンセルを余儀なくされると、それでも利用者がキャンセル料を払うのか、それともキャンセルの被害はレンタル業者側で被るのだろうか?
切実な問題である。
ということで、ネット検索してみた。
マイムの袴
卒業式が中止になったお客様には、代金の全額をご返金をさせていただきますので
詳しくは下記を参照の上、お手続きをお願いいたします。
ここは延期にも可能な限り対応するし、中止となっても写真撮影だけはやりたいという希望にも応じる。
この度発生しました東北地方太平洋沖地震により被災されました皆様へ心よりお見舞い申しあげます。
巨大地震の発生の影響で各地で交通機関の混乱がおき、また、計画停電等によりいくつかの学校で卒業式が延期、中止になっております。
当店では、震災のため卒業式が中止になり、当店のレンタル衣裳と着付・ヘア・メイク・写真をキャンセルされたいお客様には、代金をお返しさせていただいております。
そのための特設ページもある。
貸衣装ドルチェ
ここには地震対応の記載が一切無い。レンタルキャンセル料は、衣装の発送後は全額で、1週間前までにキャンセルで50%ということであり、これが適用となるのであろうか?
さくらや貸衣装店
ここも地震対応の記載はなく、一般のキャンセル料規定によれば使用当日以降のキャンセルは全額、前日キャンセルは50%、それより前は20%ということである。
レンタルブティック アミィ
ここには地震お見舞いの記載はあるが、キャンセル受付の表示はない。
キャンセル料は、当日前日とも全額、2〜7日前は50%、それ以前は20%とのことだ。
レンタルコスチュームはぎわら
ここも地震対応の記載はない。
キャンセル料は使用日の3日前から100%、1週間前から50%、それ以前は20%だ。
紬のたけやま
ここは福島の会社なので、自身も被災地域ではあるが、以下のような表示。
福島県郡山市の当店は今回の東日本大地震による物的被害は
微小でしたのでご安心ください。
尚、被害に合われました方々には慎んでお見舞い申し上げます。
それ以外の地震対応の記載はない。
グーグル検索で最初の方に出てくるのを恣意的に選んでアクセスしただけだが、地震による延期にいち早く対応している最初の二社は好感が持てる。
その他のサイトでは、キャンセル料が必要なのかどうか、はっきりしない。卒業式が中止となってしまったレンタル利用者は、まずは交渉してみることだろう。
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