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2010/07/01

JALはまだ税金にたかろうというのか

毎日jp:日航再建:融資再開に政府保証も 債権放棄上積み狙う

打ち出の小槌を手にしているつもりになっている倒産企業JALだが、かれらの打出の小槌は政府、すなわち税金をあてにしてのものであったようだ。

銀行団の理解を得るため、支援機構は一段のリスクを負う構え。日航に対する出資拡大に加え、中村専務は会見で、民間金融機関が日航に融資を再開する際、機構が独自の保証をつけることを検討すると表明。事実上の政府保証をちらつかせ、債権放棄額の上積みを引き出す考えだ。

ところで、日経の解説記事によれば(訴えられると困るのでリンクはしない)、通常の倒産企業と異なり、日航プロバーの経営陣と、稲盛会長と、管財人役の企業再生支援機構とが三すくみの状態で、いずれも全体を統括するリーダーではないということのようだ。
つまり、稲盛会長がトップとしてすべてを取り仕切るのかと思いきや、稲盛氏は対内的にはご意見番の役割にとどまっているし、企業再生支援機構の方は稲盛会長の主導権を尊重するということで一歩引いている。その間にあって、日航プロバーの経営陣・幹部は、もちろん稲盛氏と支援機構の指示待ち状態で、自ら積極的には動こうとしない。

たまに動いたと思ったら、稲盛会長にくっついてきた中小企業経営者たちの応援団にお礼の特典を付与するということをやって、表沙汰になって撤回を余儀なくされるという体たらくである。

そんなことしている場合かと、倒産企業がただでさえ困難な再生を目指すのに、誰がトップとしての責任を追っているのかリーダーシップを発揮するのかわからない状態でいていいのかと、他人事ながらやきもきする。
しかしそういうのんびり再建が可能なのも、要するに税金をあてにしているからだと思えば合点が行く。合点はいくが、他人事ではなくなってくる。

会社更生法には、以下のような規定がある。

(管財人の注意義務)
第八十条  管財人は、善良な管理者の注意をもって、その職務を行わなければならない。
2  管財人が前項の注意を怠ったときは、その管財人は、利害関係人に対し、連帯して損害を賠償する義務を負う。

また、いたずらに時を空費したり税金にたかって生きようとするなどの管財人に対しては、以下の条文があることを裁判所は思い出すべきだ。

(管財人に対する監督等) 第六十八条  管財人は、裁判所が監督する。 2  裁判所は、管財人が更生会社の業務及び財産の管理を適切に行っていないとき、その他重要な事由があるときは、利害関係人の申立てにより又は職権で、管財人を解任することができる。この場合においては、その管財人を審尋しなければならない。

なお、惨めにも無配に転落した全日本空輸(ANA)も、JALのようになる前に、徹底したリストラによりコストを切り詰めることが必要であろう。さもないと、JALの二の舞になるが、National Flagとは行ってもらえないANAが企業再生支援機構に助けてもらえるかどうかは保証の限りではない。
今ならまだ間に合う、かもしれないのである。

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