プリパッケージ型の名前を汚すJAL倒産処理
一体どの辺がプリパッケージ型なのかと、Technicolorの倒産処理に見るプリパッケージ型とJALというエントリで疑問を呈したのがこの2月、すなわちJALが倒産処理手続を開始してすぐのことだった。
それから約3か月、未だに再建の見通しも、更生計画すらも立てられないでいる。
事情が変わって遅れているというのではない。既に最初から、上記の2月のエントリの時点から、以下のような状況になっていた。
リストラ計画にせよ、路線の縮小にせよ、提携関係にせよ、みんな会社更生手続開始後に新経営陣が決めるというのだし、管財人が経営を直接指導するわけでもないという点で、従来の会社更生よりさらにのんびりした手続になっているような印象すら受ける。
結局、新社長に丸投げしたはずの計画には銀行団がさんざん口出しするし、地方は地方でエゴ丸出しで、倒産会社を食い物にして恥じない態度だし、その間、一日数億円の赤字が垂れ流されている状況が続いているのである。
欧州にいち早く帰国便を飛ばして面目を保ったと言われているが、倒産会社が何を格好つけてるのかと。それも我々の税金をアテにしてやっているのかと。
エントリのタイトルにあるように、プリパッケージ型倒産処理のお手本は、フランスのテクノカラー社の倒産処理で、開始から終結まで3か月程度、それができるのは事前根回しが周到になされていることが必要だ。JALは大会社だからできないという連中は、GMを思い出してみればよいのである。
とにかく甘い無責任態勢のまま、京セラの看板だけで批判の玉よけにしているのが現状で、玉よけの中では腐敗が着実に進行中なのである。
このままでは、会社更生法236条→252条の流れになることも予想の範囲内に入ってきそうである。
そうなれば、拓銀・山一級の破綻被害が周囲に飛び散ることであろう。
そうならないためにも、管財人と社長は決死の努力をすべきである。
cf.会社更生法
(更生が困難な場合の更生手続廃止)
第二百三十六条 次の各号のいずれかに該当する場合には、裁判所は、職権で、更生手続廃止の決定をしなければならない。
一 決議に付するに足りる更生計画案の作成の見込みがないことが明らかになったとき。
二 裁判所の定めた期間若しくはその伸長した期間内に更生計画案の提出がないとき、又はその期間内に提出されたすべての更生計画案が決議に付するに足りないものであるとき。
(以下略)
(更生手続の終了に伴う職権による破産手続開始の決定)
第二百五十二条 破産手続開始前の株式会社について第二百三十四条第一号から第四号までに掲げる事由のいずれかが生じた場合において、裁判所は、当該株式会社に破産手続開始の原因となる事実があると認めるときは、職権で、破産法 に従い、破産手続開始の決定をすることができる。ただし、当該株式会社について既に開始された再生手続がある場合は、この限りでない。
(以下略)
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