Consumer:ドロップシッピングに東京都が業務停止
読売online:新手ネットビジネスに苦情、2社に業務停止命令
命令を受けるのは、「ネット」(千代田区外神田)と「バイオインターナショナル」(豊島区西池袋)。都によると、2社は家電や雑貨などの取引で、「集客などのサポートは万全で、契約して4か月で元は回収できる」「圧倒的な安値で商品を卸せるため、利益が確実に出る」などと説明をして勧誘していた。ところが、商品の卸値が高かったり、ホームページの開設に高額の費用を取られたりした上、閲覧者を増やす有効なサポートをせず、契約者は続々と販売不振に陥った。
ネットなんて社名を付けるのはずいぶんな度胸だと思うが、それはともかく、ドロップシッピングに対する風当たりは急速に強まっている。
大阪の弁護士たちがドロップシッピング業者に対する民事責任追及訴訟を起こしており(弁護団長のブログ)、また国民生活センターによるADRでも、業務提供誘引販売に当たるとの見解の下で、業者が4割の支払い分返金をするという和解が成立している。→公表資料PDF事案6参照。
ポイントは、特商法上の業務提供誘引販売に該当するのか、それとも単なるホームページ制作なのかということだが、ドロップシッピングを勧誘する業者は多額の収入をエサに誘い込んでおり、市場調査やSEOサービスもするしサポートもするなどといっているのが通常である。これに加えてメール管理や取り次ぎなどの業務も提供しているのであれば、業務提供誘引販売に当たると解してもよいと言うところである。
それにつけても、特商法51条の条文はドイツ語よりも分かりにくい。
この章並びに第五十八条の九、第六十六条第一項及び第六十七条第一項において「業務提供誘引販売業」とは、物品の販売(そのあつせんを含む。)又は有償で行う役務の提供(そのあつせんを含む。)の事業であつて、その販売の目的物たる物品(以下この章及び第五十八条の九第一項第一号イにおいて「商品」という。)又はその提供される役務を利用する業務(その商品の販売若しくはそのあつせん又はその役務の提供若しくはそのあつせんを行う者が自ら提供を行い、又はあつせんを行うものに限る。)に従事することにより得られる利益(以下この章及び第五十八条の九第一項第三号において「業務提供利益」という。)を収受し得ることをもつて相手方を誘引し、その者と特定負担(その商品の購入若しくはその役務の対価の支払又は取引料の提供をいう。以下この章及び第五十八条の九第一項第三号において同じ。)を伴うその商品の販売若しくはそのあつせん又はその役務の提供若しくはそのあつせんに係る取引(その取引条件の変更を含む。以下「業務提供誘引販売取引」という。)をするものをいう。
追記:弁護団長のブログでもこの件に触れられている。
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コメント
東京都は大英断というか、正直びっくりしました。
注文受付や取次等は「その商品の販売若しくはそのあつせん又はその役務の提供若しくはそのあつせんを行う者が自ら提供を行い、又はあつせんを行うもの」のところの要件を満たさないと思われたのですが・・。
やるもんですね、東京都!
投稿: ちかおばちゃん | 2010/03/03 22:45
業務提供誘引販売取引に当たるので,クーリングオフを認める,という判決を横浜地裁でもらいました。
なかなか興味深い解釈が書かれています。
投稿: 神田知宏 | 2010/04/15 16:01