arret:拓銀元頭取等の特別背任上告審
BANK:拓銀の特別背任は上告棄却決定で紹介した決定が早くもウェブに公開された。
基本的には報道の通りなのだが、5頁の法廷意見に対し、田原裁判官が10頁もの補足意見を付けて説明している。
田原裁判官は著名な倒産法弁護士であったので、倒産間際の融資の問題、倒産しそうな企業に対する金融機関の融資の問題である本件には特別の思い入れがあったのであろう。
田原裁判官は、融資先企業の当時の資産状況も具体的数字を挙げて指摘し、「再編計画は未だ具体的な検討がなされておらず,問題の先送り状態の下で株式会社Fの月々の赤字を補填するべく本件融資がなされていたものにすぎず,株式会社Fに対する本件融資が,Dグループ全体の再編計画の下での損失の極小化を図る過程でなされたものとは到底認められない」と指弾している。
誠に説得力のある補足意見だ。
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コメント
地裁で無罪を書いた裁判官は心して読むべきでしょう。最高裁の補足意見を。田原裁判官が一審無罪判決をしかりつけているようにも読めますし。
投稿: キメイラ | 2009/11/13 15:52