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2009/06/19

jugement:成年後見人の横領

刑事事件ではあるが・・・。

広島地福山支判平成21年3月24日PDF判決全文


家庭裁判所から成年後見人に選任された被告人A及びその親である被告人Bが,両名等の用途に費消する目的で,Aが業務上預かり保管していた成年後見人の預金を,A及びBが引き出す等して横領した件について,
1 被告人Aについて
(1)家庭裁判所の選任判断の誤りから知的障害を有する被告人Aに犯行を容易にする環境が与えられた以上,被告人Aを裁くことは正義に反し公訴権濫用にあたること
(2)被告人Aの知的障害を理由として,家庭裁判所の成年後見人選任行為には重大かつ明白な瑕疵があり無効で,「業務性」及び「委託信任関係」が被告人Aには存在しないこと
(3)各預金の引き出し等の手元留保行為の内,私的費消の立証が無い部分については不法両得の意思が存在しないこと
(4)被告人Aの知的障害を理由に,本件各引き出し行為時に被告人Aは心神喪失又は心神耗弱状態にあったこと
2 被告人Bについて
(1)被告人Bには業務上横領罪における「後見人」の身分が無く,被告人Aとの関係では何らかの共犯関係があったとしても従犯にとどまること
(2)被告人Bの知的障害を理由に,本件各引き出し行為時に被告人Bは心神喪失又は心神耗弱状態にあったこと
等が争われたが,被告人Aには業務上横領罪が成立し,犯行の一部につき知的障害による心神耗弱の状態にあったと認定して懲役1年10月の実刑に,被告人Bには業務上横領罪の共同正犯が成立し,犯行の全てにつき知的障害による心神耗弱の状態にあったと認定した上で,刑法65条2項により横領罪の限度において懲役1年8月,3年間執行猶予に各処した事例

公訴権濫用論というと、水俣・川本判決を思い出す。

家裁が知的障害のある人を成年後見人に選任して、その人が横領してしまったという事件だが、心神耗弱を認めたところまでということである。

民事手続的にも興味ある事例である。

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