arret:殺人・死体隠匿は死体が出てくるまで除斥期間も完成しない
殺人犯が被害者の遺体を自宅の地下に埋めていたところ、運悪く土地区画整理事業の対象となり、明け渡しを余儀なくされたので、犯行から26年目に自首したという事例。
最高裁は、除斥期間が完成しないと判示した原判決を支持。実質的な理由は以下の通り。
「被害者を殺害した加害者が,被害者の相続人において被害者の死亡の事実を知り得ない状況を殊更に作出し,そのために相続人はその事実を知ることができず,相続人が確定しないまま除斥期間が経過した場合にも,相続人は一切の権利行使をすることが許されず,相続人が確定しないことの原因を作った加害者は損害賠償義務を免れるということは,著しく正義・公平の理念に反する。このような場合に相続人を保護する必要があることは,前記の時効の場合と同様であり,その限度で民法724条後段の効果を制限することは,条理にもかなうというべきである」
これには田原裁判官が「意見」を付けている。田原裁判官によれば、法廷意見は除斥期間と解しながら請求を認めるという、つまり既に消滅した請求権の行使を認めるという「論理的には極めて困難な解釈」をしている。
端的に20年の期間も時効と解して民法160条を直接適用すれば足りるというのである。
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