trip飛行機のクレーマーおやじ
飛行機にやっとの思いで乗り込み、乗客の流れが途切れると、CAがアナウンスした。
「ただいまお客様がお揃いになるのをお待ちしております。出発まで、今しばらくおまちください。」
すると、最前列に座っていた男が「ちょっと聞きたいことがあるんだけど。」とCAに呼びかけた。
出発前の一番忙しそうなときに話しかけたその男、どうやら飛行機の出発が遅れるのが気に入らなかったらしい。
男「あのさ、出発前の15分にはあれするだろ、あれ。」
CA「はい?」
男「あれだよ、ほら、荷物のとこを締め切るって言ってるだろ。」
CA「あぁ、はい。」
男「15分前に締め切ってるのに、なんでまだ来ていない客を待たなけりゃならないんだ?」
CA「それは遅れられたお客様もいらっしゃるから…、」
男「でも入り口も10分前に締め切ってしまうんだろ。それなら遅れた客はいないはず、というか待つ必要はないだろ。」
CA「今日は、少し事情があります。何か、列車が遅れたらしく、遅れてこられるお客様が予想されてまして…。」
この日、札幌の近くで人身事故があり、快速エアポートが一つ運休になったのだ。で、次善の列車はこの飛行機の20分前に到着するというギリギリ。
それで予約センターに電話して待っててくれと頼んだのは私であった。まあ私だけがそういう行動にでたとは限らず、ほかにもいたかもしれない。しかしとにかく、電話をすることで一定の配慮はあるらしい。
男「それはおかしい。その理由はおかしい。電車が遅れたから出発も遅らせるなら、急いで来た俺はどうなる?バスに乗って、バスが遅れても飛行機は待ってくれないと言っているのに、なんで電車なら待つんだ?」
CA「今は時間がありませんので、また改めてお話させていただいてよろしいですか。」
なおも言い募る男に、打ち切りを宣言したCAは、ドア閉めやアナウンスなどに取りかかった。
離陸後、ベルト着用サインが消えると、その男の相手をしていたCAは、かわいそうに、またしてもなぜ待つのかを説明するという絶望的な仕事に取りかかった。
ほかの仕事はほとんどすべて同僚がやり、その男の横にしゃがんだままおよそ30分、ハッピーフライトの綾瀬のように切れることもなく、辛抱強く、その男の話を聞き続けたのだった。
さすがに飛行中は騒音がじゃまで内容までは聞き取れなかったが、断片的に「地上職員が」とか、「「すぐ謝るんじゃなくて」とか、「一番腹が立つのは」とか聞こえてくるところからすると、日頃のうっぷんを一気に吐き出したらしい。
ひょっとして機長による制止命令の出番かと思ったが、あの程度ならCAのところで対応可能なレベルだったのだろう。
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コメント
こんにちは、大変な目に遭われましたね。
こういう義憤型クレームをおさえるには、どのような場合に待つことにするのかという透明性のある公平なルールを定め、事前に周知しかつそれをちゃんと運用することに尽きるとおもいます。
「そういう規則になっておりますのですみません」と数回頭を下げればこのタイプの方は納得されると思いますが、それを合理的にわかるように説明できなかった時点でCAの受難は決定しましたね。
法廷にも似たような原告がゴロゴロしているんじゃないですか?
投稿: 肉団子 | 2009/03/24 15:32