jury:私には人を裁けない
R25の連載コラムに、高橋秀実という人が書いている。
コラムの趣旨は、最高裁作成のマンガで、日常生活で行っている判断で大丈夫とか、自由に議論してくださいとか書いてあるのに対して、そんな気軽なものであるはずはなかろう、というものである。
こんなところでも、最高裁や法務省がやってきた、裁判員は普通の人でも簡単に負担なくできるという導入キャンペーンの弊害が現れている。
裁判で判断する役が大変な作業であることなど常識以前だし、裁判が時間がかかるのも古今東西変わらぬ真実だ。殺人事件なら惨たらしい証拠も直視しなければ事実を認識したとはいえない。
ところが最高裁も法務省も、そういう負担がかかることを湖塗して、あたかも裁判なんてすべて3日くらいで済みますと言わんばかりのキャンペーンを繰り広げてきた。
あまつさえ、3日で済まない多数犯罪の場合は、事件を不自然に分割して判断させるようにしてしまい、そうでなければ何が何でも争点を切り詰めて納期に間に合わせようという態度だった。
これでは裁判員制度に基本的に賛成していた者も反対に回りたくなるし、一般人だっていつまでも騙されてはいない。
裁判員が本来求められる重い負担を隠すことなく、時間的にも精神的にも大変な任務であることを明らかにして、それでも自白調書丸飲みのプロの裁判よりはましになりますよ、だから導入に協力してくださいというキャンペーンをはるべきである。
サイバンインコでごまかしている場合ではないのだ。
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