In re iPod nano クラスアクション
iPod nanoの欠陥を理由とするクラスアクションについて、和解が成立したとの報道がある。
CNET Japan:アップル、「iPod nano」のキズ問題で和解--2250万ドル支払いへ
原告団のページもある。
the In re iPod nano Cases Class Action Website
Case No. BC 342057, JCCP No. 4469.
クラスアクションの場合、クラスに所属する人々と原告とは直接的なつながりがないことも可能なので、原告が和解をすれば、その和解金はクラスに所属する人々に分配されることとなる。
その分配方法が難しいということで、日本にクラスアクションを導入することは困難だというのだが、iPod nanoケースでは以下のようにされるとのことだ。
補償を請求するユーザーは、購入した製品に応じて2通りの支払額のうちいずれかを得る可能性がある。 第1層の支払いは、iPod nanoを購入した際に無料の保護ケースが同梱されていなかったユーザーが対象で、請求者には25ドルが支払われる。 第2層の支払いは15ドルで、無料の保護ケースが同梱されたiPot nanoの購入者を対象とする。 ただし、この支払額は、補償請求者の人数によって変化する可能性がある。 すべての補償請求が完了した時点で資金が余った場合、残りは補償を請求したユーザーに分配される。しかし、支払額は各層の当初の補償額に対して1.5倍を上限とする。追加の支払いを行った後で残額がある場合は、慈善事業に寄付される。 しかし、補償請求者の人数が2250万ドルの資金を上回った場合、補償額は人数によって割った額に減じられる予定である。
こうしたやり方は、破産などの倒産処理手続ではおなじみであり、クラスアクションでもそのやり方にならった立法をすれば良いだけのことである。分配が困難というのは、クラスアクション導入の否定根拠には全くならないのだが、未だにそのように真顔でいう人がいて困る。
ちなみに、振り込め詐欺救済法も、多数人が一つの分配対象財産からの債権回収を行い、足りなければ割合に応じた支払を受け、余れば余剰を適切に使用するという特別な手続である。
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