Edu:医学部予備校の授業が物足りない場合と債務不履行
大学医学部受験を専門とする予備校の講師が,受講契約で求められる程度の講義をしていなかったとして,予備校開設者の予備校生に対する受講契約に基づく債務不履行責任が認められた事例
これはなかなか大学でも安閑としていられないような、特にロースクールではドキドキするような判決である。
判決で認定されている事実から目立ったものを抜粋すると・・・
C講師は,冬期講習会,合宿特訓(冬期 ,基礎強化)特訓コース,夏期講習会,合宿特訓(夏期 ,冬期講習会で,講義) 時間中に学習に関係ない話を長々続けたり,受講生の私的な情報をほかの受講生に話し,受講生の関係を悪くさせたり,終了時間前に講義を終わらせることがあった。
C講師は,そのころから,講義時間中に学習に関係ない話を長々続けたり,受講生の私的な情報をほかの受講生に話し,受講生の関係を悪くさせたり,終了時間前に講義を終わらせるだけでなく,遅れて講義を始めたり,講義を途中で打ち切って外出や,受講生を連れての散歩や食事(中抜け)をするため,それまでよりも講義の時間が短くなったり,教材にゴシップ紙を使用する,講義が本科での講義と同じだったり,受験に重要な長文読解を軽視し,英文法・単語・熟語に偏るようになった(甲15・乙3と乙2を読み比べると,長文読解の講義時間数が減っている) ,勝手に講義時間の延長の扱いをする(担当講師は手当を受けられることがあるが受講生には個別指導料の負担が生じることを意味する )など,その講義態度,講義内容が目立って悪くなった。
原告もまた、集中力が続かないなどの問題を抱えていたが、上記のような態度で、学校の債務不履行が認められたというわけである。
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コメント
出席することよりも、そこで教わることの方が重要であるこそ、こういう訴訟が起こされるのです。ロースクール教育は、はたして、そうなっているでしょうか?卒業資格を得るため、出席点をもらうため、仕方なく出ている人が多いのじゃありませんか?
同様の訴訟がロースクールにおいて起きるのなら、ロースクール教育も捨てたものじゃないと思います。
投稿: Inoue | 2008/11/07 20:54