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2008/04/27

arret:鑑定と自由心証主義

最判平成20年4月25日PDF全文

責任能力判断の前提となる精神障害の有無及び程度等について,専門家たる精神医学者の鑑定意見等が証拠となっている場合には,これを採用し得ない合理的な事情が認められるのでない限り,裁判所は,その意見を十分に尊重して認定すべきである。

刑事裁判ではあるが、自由心証主義と鑑定の関係については民事でも同様に問題がある。

この判決が引用しているように「被告人の精神状態が刑法39条にいう心神喪失又は心神耗弱に該当するかどうかは法律判断であって専ら裁判所にゆだねられるべき問題であることはもとより,その前提となる生物学的,心理学的要素についても,上記法律判断との関係で究極的には裁判所の評価にゆだねられるべき問題である」というのが、これまでの通説であった。
これに対して、本判決が「専門家たる精神医学者の意見が鑑定等として証拠となっている場合には,鑑定人の公正さや能力に疑いが生じたり,鑑定の前提条件に問題があったりするなど,これを採用し得ない合理的な事情が認められるのでない限り,その意見を十分に尊重して認定すべきものというべき」と踏み込んだのは、注目に値する。

ただ、鑑定を証拠として採用した上で、さらに諸事情との総合評価により判断しているので、事実認定が基本的に鑑定に依存するということになるわけではないのである。


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法律・裁判」カテゴリの記事

コメント

精神障害有と判定したなら、その証拠を出した弁護側が罪を償って出所した後の加害者の行動に責任を取って欲しいと思うのですが、その辺のバランスって取れているんでしょうか?

投稿: sakimi | 2008/04/27 20:32

弁護人が責任をとるというわけには行かないでしょう。
今なら「心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律」で入院決定とか通院決定とかを裁判所が出すことになります。

投稿: 町村 | 2008/04/27 21:58

「無罪と判定したならば,その証拠を出した弁護側が出所した後の被告人の行動に責任を取って欲しい」なんてこといなったら,弁護人は,その被告人が本来無罪になると認識した場合には,無実となるべき証拠を出すも地獄(その事件については無実でも,その人が未来永劫犯罪を犯さないことは保障できません。),出さざるも地獄という状態に陥りそうですね。
 無罪となるべき証拠を敢えて出さないことにより本来無罪となるべき被告人が有罪となっても弁護人は法的責任を負わないという免責規定ができたら,もう手抜きをしまくるしかないですね。

投稿: 小倉秀夫 | 2008/04/28 23:15

裁判長の見解のなので、控訴しなければ精神感的の法廷審理が無意味なものとなってしまうので、裁判官の恣意性に委ねる今判決は不当だといわざる得ないででしょう。検察、弁護人両者の精神科的が整合するすることも刑事裁判では希なわけですが、それを度外視した裁定は審理過程の妥当性がないと批判されても甘受すべきでしょう。

投稿: 左陪席右陪席 | 2008/05/01 01:08

一部の方が誤解しているようなので追記

このエントリへの前回の書き込みは、弁護士や精神科医に対して「心神喪失又は心神耗弱」の加害者に対して保護者的な紐付けが出来れば、無罪判決が出たとしても第二、三の被害者が出ないんじゃないかと思ったから出してみたものです


投稿: sakimi | 2008/08/04 19:38

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