lawyer:文科省は法科大学院にお金が落ちればよいと考えてる?
小倉先生の「法務省と文科省との利害の対立」によれば、「法務省が望んでいるのは何かといえば,(中略)有り体に言えば,東大又は京大の法学部出身で,できる限り若い人材を採用したいということがある」のだそうだ。
そして「文科省としては,法科大学院にお金が落ちればいいわけ」だから「学部卒業時にそれなりの企業に就職をすることを果たせなかった人材が法科大学院に集まり,新規法曹資格者がそのような人材の吹きだまり状態になったって,彼らが法科大学院に授業料を支払ってくれる限り,別に構わない」のだそうだ。
(一部のみ抜粋したので、正確なところは上記エントリを参照されたい)
文科省がそのように法科大学院にお金が落ちることだけを目的に行動しているとは到底思えないし、建前はもちろん、本音の部分でもそのようには考えていないであろう。
むしろ法科大学院設立の前から、競争による淘汰を当然の前提にしていたし、当時はそれに反対するような論調は皆無であった。その点では、鳩山大臣が述べた「法科大学院の経営問題は優先事項ではない」という姿勢に、文科省も何ら異なるものではない。
#なお、経営的に成り立たなくなってつぶれるような法科大学院にも、最後まで学生はいるわけで、そのようなクライアントの不利益を無視してよいとは思わないし、消費者問題の視点からもダメダメ学校に入学して人生かけた人は自己責任と切ってしまうことには問題があろう。
##ただしこのことは「一校もつぶしてはならん」との議論を導くものではないし、だから参入規制をという方向に行くものでもない。事後的救済を考えることしかなさそうである。
それはともかく、このように考えている弁護士さんがいるという事実は間違いないところなので、今後はその前提で法曹養成の諸問題について考えていく必要があるのだろう。
鳩山法務大臣も上記「有り体」な法務省の意向を汲んで発言されていると見られているわけである。
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コメント
法科大学院の経営が最優先課題でないのだとすれば,法科大学院制度を廃止して,法科大学院維持のために用いている公的資金を前期修習に振り向けた方がよいのではないでしょうか。
http://d.hatena.ne.jp/okaguchik/20080226/p10
前期修習なしで実務修習にくる修習生について「何をさせたらいいのか」という疑問は,修習生指導担当弁護士からはよく聞こえてきます。
投稿: 小倉秀夫 | 2008/02/26 10:58