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2007/12/27

arret:取り調べメモの証拠開示命令

最決平成19年12月25日(PDF全文)

クリスマスに出たこの決定は、取り調べ過程の可視化の議論にも関連するのではないか。

要するに警察官が取り調べ過程で作成した備忘録は、犯罪捜査規範13条「警察官は,捜査を行うに当り,当該事件の公判の審理に証人として出頭する場合を考慮し,および将来の捜査に資するため,その経過その他参考となるべき事項を明細に記録しておかなければならない。」との規定に基づいて作成が義務づけられているものだから、「個人的メモの域を超え,捜査関係の公文書ということができる。これに該当する備忘録については,当該事件の公判審理において,当該取調べ状況に関する証拠調べが行
われる場合には,証拠開示の対象となり得るもの」というわけである。

捜査の過程を明細に記録しておかなければならず、取り調べ過程を記録した備忘録も同様の記録作成義務に基づくというのであれば、やはり取り調べ過程の最も明細な記録であるビデオ録画が望ましいことはいうまでもない。
そして仮にビデオ録画しているのであれば、それは法廷に開示すべき存在となるわけである。

もちろん、捜査官がメモを取ることとビデオ録画することとは同列に論じられないし、メモ取りが義務だからといってビデオ撮りも義務だということにはならないのだが、広く捜査過程の明細な記録作成義務が捜査機関側にあるということはもっと強調されて良い。そしてその義務は、取り調べ過程において違法な取り調べが行われなかったことの立証負担にも及ぶのである。

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