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ロシアの平和維持軍:不安定な世界で平和を維持する

2024/11/25のスプートニクのイリヤ・ツカノフ氏の記事の抄訳。殆ど知られざるロシアの平和維持活動の実績。

 この記事で触れられている戦争や紛争の多くが、西洋が引き起こしたものであることを考えれば、公平な目で旧冷戦後の数々の戦争・紛争を振り返ってみると、世界平和を脅かしているのがロシアではなく西洋であることは明らかだ。———と言っても、白を黒だと信じさせることの出来る西洋のプロパガンダでしか世界情勢を見て来なかった人々は、そもそもそれらの黒幕が西洋であったこと自体を知らないのだが。
Russian Peacekeepers: Keeping the Peace in a Precarious World



 11/25は「軍事的平和維持者の日」———民族紛争から国家間の小競り合いに至るまで、紛争の仲裁・調停・鎮圧の為に国外に派遣されているロシア軍の職業上の祝日だ。

 これは2016年に始められた慣行で、1973年10月のアラブ・イスラエル戦争後の国連ミッションで、1973/11/25にソ連が軍監視員36名をエジプトに派遣したことを記念するものだ。

 ロシアの「ブルー・ヘルメット(平和維持軍が被る)」について知っておくべきことは以下の通りだ。



 旧ソ連諸国での平和維持活動

 現代ロシアの平和維持軍は、ソ連崩壊によってパンドラの箱が開き、民族間紛争が旧ソ連の複数の地域で火を噴いた1991年の直後から、地域の安全を確保する上で測り知れない道具となった。

 ・1992年、ロシアは地元民兵とモルドバ軍の間の戦闘を止める為に、トランスリトアニア(沿ドニエストル)に3,000人の軍隊を派遣した。現在も約400人の平和維持軍が駐留しており、この平和維持活動はロシア現代史の中で最長最古だ。

 ・1992年、ナショナリストのグルジア大統領ズヴィアド・ガムサフルディアの「グルジア人の為のグルジア」綱領/政策によって引き起こされた紛争を凍結する為、220人の平和維持軍が南オセチアに派遣された。

 ・1993年、ロシアはタジキスタン中央政府と、アフガニスタンのイスラム主義勢力の支援を受けた過激派との間の血みどろの内戦を止める為、タジキスタンに6,000人の軍隊を派遣した。平和維持軍はタジキスタンと中央アジア地域全体の安定化に貢献し、イスラム主義思想の拡散を阻止した。現代ロシアの反乱鎮圧ドクトリンはここで発明された。

 ・1994年、ロシアの平和維持軍1,800人がグルジアのもうひとつの離脱地域であるアブハジアに到着し、暴力を阻止した。

 ・2020年、アルメニアとアゼルバイジャンとの間の30年に及ぶ民族紛争の末に1ヵ月半に亘る残忍な戦争が勃発したが、ロシアは平和維持の為にナゴルノ・カラバフに1,960人の軍隊と90台の装甲兵員輸送車を派遣した。



 ユーゴスラヴィアでの平和維持活動

 1992年3月、多国籍国家ユーゴスラヴィアでセルビア人、クロアチア人、ボシュニャク人、コソボのアルバニア人の間での戦闘が続く中、国連はロシアに対し平和維持軍を派遣するよう要請した。

 ・1992〜95年、クロアチア人とセルビア人の戦闘の最中、民間人を保護する為に900人のロシア軍がクロアチアに派遣された。

 ・1995年、締結されたばかりの和平協定を守る為に、ロシアは1,600人の平和維持軍をボスニアに派遣し、2003年まで駐留した。

 ・1999年、北大西洋条約機構(NATO)がユーゴスラヴィアを爆撃した後、、ボスニア派遣軍から平和維持軍400名が突然コソボに再配備された。これはコソボを勝手に離脱させた西洋に対して、モスクワが同胞のセルビア人民を守る姿勢を見せ付けた。コソボ派遣軍は後に兵員3,600名に増員され、2003年に撤退した。


 ロシアの平和維持軍は度々命を危険に曝して戦闘を停止し、人道的支援を提供し、交渉を仲介して来た。地元外交へのこうした姿勢は複数の停戦と和平協定に貢献した。

 クロアチアでは22名が命を落とした。コソボでは12名が死亡した。

 2008年8月、グルジアが南オセチアに奇襲攻撃を仕掛けたことで15名の平和維持軍が殺害された。これはグルジアとの5日間紛争を引き起こし、最終的にアブハジアと南オセチアが独立するに至った。



 ロシアの平和維持活動がグローバルに展開

 1990年代半ば以降、ロシアはアフリカに於ける国連平和維持活動への関与を深めたが、それには以下のものが含まれる:

 ・1995〜96年、アンゴラでの国連平和維持活動にヘリコプター・パイロットの派遣団を配備。

 ・2000〜05年、シエラレオネ内戦中に114人のパイロットと4人の警察官を派遣。

 ・2003〜18年、リベリアに22人の憲兵を派遣。

 ・2004〜06年、ブルンジに40人の憲兵を派遣。

 ・2005〜12年、スーダンの平和維持活動に133人の平和維持要員と4機のMi-8ヘリコプターを派遣。

 ・2008〜10年、EU主導の国連平和維持活動に参加する為、チャドと中央アフリカ共和国に100人の兵士と4機のMi-8ヘリコプターを派遣。

 ・2015年以来、対テロ作戦と並行して、シリアに駐留するロシア軍は平和維持活動にも従事している。戦争で荒廃したシリア北部ではシリア軍とトルコ支援勢力との衝突を防ぐ為に展開しており、北東部ではシリア軍と米国支援勢力の間の戦闘を止める為に介入している。

 ・2022年1月、ロシア主導のCSTO平和維持軍がカザフスタンに派遣され、政府と抗議者達との武力衝突の最中、法と秩序の維持を支援した。この作戦は文句無しの成功を収め、政府は安定を回復し、平和維持軍は僅か1週間で帰国した。この作戦にはロシア、ベラルーシ、キルギス、アルメニア、タジキスタンから2,000人以上の平和維持軍が参加した。



 ロシアの平和維持軍はサマラ郊外の基地で訓練された特殊部隊で構成されており、第15独立親衛自動車化狙撃旅団の支援下で活動している。

 部隊は軽火器、装甲車両、一連の偵察・通信機器、ドローンを装備している。

 2024年現在、旧ソ連諸国とシリアでの任務に加え、87人のロシア軍と将校がスーダン、南スーダン、中央アフリカ共和国、西サハラ、コンゴ民主共和国、キプロスでの国連平和維持活動に従事している。
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川流桃桜

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一介の反帝国主義者。
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