ゼレンスキーは「ロシアの偽情報」と戦う為にメディアを検閲するよう諜報機関に要請(抄訳)
アンドリュー・コリブコ氏の分析の抄訳。2024/01/07、ゼレンスキーは諜報機関がもっとメディアを検閲するよう求めたが、恐らくこの要請は聞き入れられないだろう。嘘で国民を騙せる時期はもう過ぎ去ったたのだ。
Zelensky Demanded That Intelligence Agencies Censor The Media To Fight “Russian Disinformation”
ゼレンスキーが検閲強化を求める
2024/01/07、ゼレンスキーはスウェーデンの「社会と防衛」会議でこう発言した。
「残念ながら今日、ロシアは情報空間の大部分を支配しています。
私がここで話しているのはウクライナではなく、ヨーロッパ、米国、英国、アフリカ大陸、ラテンアメリカ等、文明世界のあらゆる場所のソーシャル・メディアについてです。
ロシアはソーシャル・ネットワークだけでなく、他国の様々なメディアにも多額の資金を投資しています。」
彼に拠れば、これらの独立メディアはロシアのプロパガンダを、誰かの意見ではなく現実として提示している。従って今日最も困難な課題のひとつは、世界中に広がるロシアの偽情報と戦うことである。
「それらを監視し一掃するのは、諜報機関から独立ジャーナリストに至るまで、専門家達の仕事です。」
ゼレンスキーの発言の解説
この発言内容を個別に見てみる。
1)ロシアは自国だけでなく、西洋を含めて世界中で多くの人の心を掴んだ、とゼレンスキーは認めている。「ロシアは情報空間の大部分を支配している」と云うのは、ソーシャル・メディアで益々広まっている自分に対する批判の信用と落とそうとしていると考えらえれる。
2)ゼレンスキーが「文明世界」と呼んだものからは、明らかにアジアが省略されている。彼は中国、インド、サウジアラビア、トルコ等のアジアの大国が、自国の利益を犠牲にして西洋の対ロシア制裁に従うことを拒否したことに、恐らく激怒している。アフリカやラテンアメリカ諸国も制裁には従っていないが、ウクライナは最近、これらの地域に対しては外交努力を行っているので、それらの国々を「非文明的」である云う仄めかしで中傷したくはなかったのだろう。
3)「ロシアは他国の様々なメディアにも多額の資金を投資している」と云うのは完全に嘘ではないが、それは西洋を凌いでいる訳ではない。実際には、「米国グローバル・メディア庁」が2023年には8億4,000万ドルの資金を受け取ったのに対し、ロシア・メディアのRTが受け取ったのは今日の為替レートで僅か2億8,800万ドルに過ぎない。
4)ゼレンスキーは、多極的な世界観を「ロシアのプロパガンダ」だと混同している。多極的な世界観は現代の時代精神であって、2023/07/22に国連のグテレス事務局長も、「我々は新たな世界秩序と多極化世界に向かって進んでいます」と語っている。米国主導の西洋の一極覇権と対立する多極的世界観を「ロシアのプロパガンダだ」と貶めるのはよく使われる手口だが、世界全体が多極化に向かいつつあるのは最早不可避のプロセスだ。
5)米国は諸外国のソフトパワー事業に莫大な予算を注ぎ込んで来たにも関わらず、ロシアが擁護する多極化パラダイムを受け入れる人は、グローバル・サウス、西洋の一部、そしてウクライナでさえも増えて来ている。だからこそゼレンスキーは諜報機関にメディアの検閲を要請した。西洋のウクライナ戦争関連報道は正に検閲の塊だが、反攻の失敗以来、物語は180度逆転して来ている。主流メディアは「ウクライナの勝利は間近」と云う大嘘を止め、厳しい現実についての真実を語り始め、ロシアとの和平交渉再開に向けて、「停戦は実際にはウクライナの勝利を意味する」などと言い張って、それを人々に信じさせようとしている。実際には、大嘘のプロパガンダを垂れ流しているのはロシアではなくゼレンスキーの側なので、NYタイムズはメディアに対するウクライナ国民の信頼の低下について警告したばかりだ。
従って、諜報機関によるメディアの検閲要求は聞き入れられないだろう。この紛争に関する西洋の報道姿勢は完全に変化してしまったからだ。代替メディアへの取り締まりは強化されるかも知れないが、そうしたとしても、主流メディアの最近の傾向を逆転させることは出来ない。
Zelensky Demanded That Intelligence Agencies Censor The Media To Fight “Russian Disinformation”
ゼレンスキーが検閲強化を求める
2024/01/07、ゼレンスキーはスウェーデンの「社会と防衛」会議でこう発言した。
「残念ながら今日、ロシアは情報空間の大部分を支配しています。
私がここで話しているのはウクライナではなく、ヨーロッパ、米国、英国、アフリカ大陸、ラテンアメリカ等、文明世界のあらゆる場所のソーシャル・メディアについてです。
ロシアはソーシャル・ネットワークだけでなく、他国の様々なメディアにも多額の資金を投資しています。」
彼に拠れば、これらの独立メディアはロシアのプロパガンダを、誰かの意見ではなく現実として提示している。従って今日最も困難な課題のひとつは、世界中に広がるロシアの偽情報と戦うことである。
「それらを監視し一掃するのは、諜報機関から独立ジャーナリストに至るまで、専門家達の仕事です。」
ゼレンスキーの発言の解説
この発言内容を個別に見てみる。
1)ロシアは自国だけでなく、西洋を含めて世界中で多くの人の心を掴んだ、とゼレンスキーは認めている。「ロシアは情報空間の大部分を支配している」と云うのは、ソーシャル・メディアで益々広まっている自分に対する批判の信用と落とそうとしていると考えらえれる。
2)ゼレンスキーが「文明世界」と呼んだものからは、明らかにアジアが省略されている。彼は中国、インド、サウジアラビア、トルコ等のアジアの大国が、自国の利益を犠牲にして西洋の対ロシア制裁に従うことを拒否したことに、恐らく激怒している。アフリカやラテンアメリカ諸国も制裁には従っていないが、ウクライナは最近、これらの地域に対しては外交努力を行っているので、それらの国々を「非文明的」である云う仄めかしで中傷したくはなかったのだろう。
3)「ロシアは他国の様々なメディアにも多額の資金を投資している」と云うのは完全に嘘ではないが、それは西洋を凌いでいる訳ではない。実際には、「米国グローバル・メディア庁」が2023年には8億4,000万ドルの資金を受け取ったのに対し、ロシア・メディアのRTが受け取ったのは今日の為替レートで僅か2億8,800万ドルに過ぎない。
4)ゼレンスキーは、多極的な世界観を「ロシアのプロパガンダ」だと混同している。多極的な世界観は現代の時代精神であって、2023/07/22に国連のグテレス事務局長も、「我々は新たな世界秩序と多極化世界に向かって進んでいます」と語っている。米国主導の西洋の一極覇権と対立する多極的世界観を「ロシアのプロパガンダだ」と貶めるのはよく使われる手口だが、世界全体が多極化に向かいつつあるのは最早不可避のプロセスだ。
5)米国は諸外国のソフトパワー事業に莫大な予算を注ぎ込んで来たにも関わらず、ロシアが擁護する多極化パラダイムを受け入れる人は、グローバル・サウス、西洋の一部、そしてウクライナでさえも増えて来ている。だからこそゼレンスキーは諜報機関にメディアの検閲を要請した。西洋のウクライナ戦争関連報道は正に検閲の塊だが、反攻の失敗以来、物語は180度逆転して来ている。主流メディアは「ウクライナの勝利は間近」と云う大嘘を止め、厳しい現実についての真実を語り始め、ロシアとの和平交渉再開に向けて、「停戦は実際にはウクライナの勝利を意味する」などと言い張って、それを人々に信じさせようとしている。実際には、大嘘のプロパガンダを垂れ流しているのはロシアではなくゼレンスキーの側なので、NYタイムズはメディアに対するウクライナ国民の信頼の低下について警告したばかりだ。
従って、諜報機関によるメディアの検閲要求は聞き入れられないだろう。この紛争に関する西洋の報道姿勢は完全に変化してしまったからだ。代替メディアへの取り締まりは強化されるかも知れないが、そうしたとしても、主流メディアの最近の傾向を逆転させることは出来ない。
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