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プーチンと特別軍事作戦に対する支持率は依然高止まり(2023年10&12月)

 2023年12月時点でのロシアの世論調査結果2つの勘所を紹介する。調査を行ったのは2016年にロシア当局から正式に「外国のエージェント」に認定されているレバダ・センターなので、「ロシアのプロパガンダを聞かされるのではないか」と云う心配は御無用だ。心配しなければならないとしたら寧ろ「反ロシア・プロパガンダを聞かされるのではない」だろう。
PUTIN’S APPROVAL RATING

 先ずは恒例の毎月の支持率調査。プーチン大統領の支持率は依然として8割超えで高止まり。首相時代を含めてこの二十数年、彼の支持率が6割を切ったことは数える程しか無い(COVID-19パンデミックの初期だけ)。西洋のマスコミは彼を独裁者と呼ぶのが好きだが、西洋諸国の政治指導者で支持率が常に6〜8割を超えている人などどれだけ居るのだろう。
PUTIN’S APPROVAL RATING 2023

 因みに自称民主主義勢力の代表格である米国のバイデン大統領の支持率は4割程度で、特別軍事作戦開始のずっと前から不支持率が支持率を上回っている。学校のテストで40点取った奴が80点取った奴の勉強不足を嘲笑っている様なもので、「バーカバーカ」と叫んでみたところで、叫んだ奴の頭が良くなる訳ではない。民意を政策に適切に反映するシステムとしての民主主義制度が理想的な状態で運営されているなら、こうした事態は起こらない筈なのだが、現実はそうなっていない。現実の自称民主主義制度は健全に機能していると評価するのは程遠い状態に在ると云うことだ。理屈と現実が食い違ったら、理屈を一旦脇に置いて、その乖離の原因を謙虚に考えるのが、健全な良識を持ち合わせた市民のやることだ。他者を罵倒してみたところで理解は深まらないし、第一それは大人の態度ではない。

 お次はロシア政府の支持率。こちらは支持率と不支持率が拮抗し易い傾向が有るが、特別軍事作戦の開始以降は7割弱の支持率を維持している。
APPROVAL OF THE GOVERNMENT 2023

 次は2023/12/27に公開された10月の世論調査結果。ウクライナ紛争に焦点を当てたものだ。
CONFLICT WITH UKRAINE: ASSESSMENTS FOR OCTOBER 2023

 ウクライナに於けるロシア軍の行動に対する支持率は、特別軍事作戦開始時から大きな変化は無く、「断固支持」「割と支持」を合わせて大体7割台で安定している。


 興味深いことに、支持率は年代が上がる毎に高くなる。


 そして逆に、若い世代程作戦の継続を望まず、和平交渉開始を支持する傾向が強かった。単なる推測だが、若い人程西洋のプロパガンダの影響を受け易いか、或いは、理想と現実の衝突によって生じる苦労をまだ知らないと云うことだろうか。NATO側が交渉を徹底して拒否して来たからこそ、ロシアは特別軍事作戦を開始せねばならなかった訳だが、まぁキエフの反攻が予想通りに大失敗に終わってからは、和平交渉再開に向けた環境は整いつつあるので、彼等の希望が叶えられる日も近いだろう。


 また予想可能なことではあるが、男性より女性の方が、作戦継続を望む声は小さく、交渉開始を望む声は大きい。


 そしてロシアが特別軍事作戦を開始した理由について、自由回答式の質問では、「ドンバスの人々を保護/解放し、ロシア語を守る」が25%。、「ファシズムと戦う」が14%、「ウクライナ/ヨーロッパの侵略から自国を守る」が13%、「国境を守る」が12%、等々。「マネー・ロンダリングや経済的利益の追求」、「ウクライナの完全占領」などと答えた人も若干名居る。23%は答えられなかった。


 西洋のプロパガンダに洗脳された人々の頭の中では、「モスクワは自由自在に自国民の頭の中を操ることが出来、現実を180度歪曲して理解させることが出来る」と云うことになっているらしいが、この回答の多様性は、ロシアのプロパガンダ装置が西洋程強力ではないことを物語っている(米国人の9割以上は、プーチンは国際情勢に於て何ひとつ良いことをしないと信じているが、国際情勢について多少なりとも知識が有る人ならば、全く違う結果が得られる筈だ。彼等は心の底から、自分達にことにしか関心を持たないよう調教されているのだろう)。

 そして最後の質問。プーチン大統領がウクライナとの軍事紛争を終わらせると決定した場合は、合計7割近くがその決定を支持するが、併合した領土(2022年9月の合法的な住民投票でロシアに編入されることを自ら決定したノヴォロシアの4地域)をウクライナに「返還」することをその条件とした場合、支持率は一気に3割程度にまで落ち(逆に言えば3割程度は、新領土を切り捨てても構わないと思っていると云うことだ)、「断固反対」は12%から38%に急増する。
if the president decided to end the military conflict with Ukraine2023

 2022年3月に行われた和平交渉では、ウクライナのNATO加盟の動きを撤回して中立性を回復し、今度こそミンスク合意を守られると云う条件で話が進んでいたので、その時点ではドンバスとルガンスクの両共和国はウクライナの領土に留まることになっていた訳だが、その後和平交渉が西洋の介入によっておじゃんになり、9月の住民投票で各地域がその人民の意志を正式に表明した後では、事情は全く変わってしまった。今更4地域を見捨てて血と復讐に飢えたナチス共の手の中に何百万ものロシア人を置き去りにするなれば、ロシアは非人道的、非民主主義的との誹りを免れないだろう。幸いなことに、ロシアがその様な愚かな決断をしそうな兆候は一切無い。



 *オマケ:ロシアのでの街頭インタビューの様子を紹介しておく。「ウクライナが勝ったら/ロシアが負けたらどうしますか?」と云う問いに関して、殆どの回答者が「そんなことは起こらない」と答えている。実際、この質問は1945年に「日本帝国軍が連合軍に勝ったらどうしますか?」と聞いている様なものなので、端的にナンセンスだ(歴史改変SFとしては面白いかも知れないが………多分西洋の情報弱者達はそうした荒唐無稽なシナリオを妄想するのが好きだろう)。戦況に関しては、彼等は西洋の一般市民より遙かに良く理解している様だ。
What if Ukraine wins?
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川流桃桜

Author:川流桃桜
一介の反帝国主義者。
2022年3月に検閲を受けてTwitterとFBのアカウントを停止された為、それ以降は情報発信の拠点をブログに変更。基本はテーマ毎のオープンスレッド形式。検閲によって検索ではヒットし難くなっているので、気に入った記事や発言が有れば拡散して頂けると助かります。
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