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インドのジャイシャンカール外相がモスクワを訪問。大きなコンテクストを見ればその戦略的重要性が見えて来る(抄訳)

アンドリュー・コリブコ氏の分析の抄訳。2023/12/25、インドのジャインシャンカール首相は時期的に異例のモスクワ訪問を行った。これは12/13にパキスタンのアシム・ムニル陸軍司令官がワシントンを訪問したことへの対応だったと考えられる。2024年、印米関係は更なる悪化が予想される。
The Larger Context Of EAM Jaishankar’s Moscow Trip Reinforces Its Strategic Importance



 2023/12/25、インドのジャイシャンカール外相は、1962年に彼が7歳の時にソ連の宇宙飛行士を祝うイヴェントで初めて訪れた際に受け取ったパスポートと一緒に、到着当日に赤の広場に居る自分の写真をツイートした。


 彼は外務省に入省した後、1979〜81年にモスクワのインド大使館に赴任したが、これは彼とロシアとの個人的な関係がどれほど遡るかを世界に示すものだ。

 その後彼は2013〜15年にワシントンDCでインド大使を務めたが、最近の印米関係は匿名のインド高官が、インド政府からテロリストに指定されている分離主義者の暗殺を米国本土で共謀した容疑で米司法省から告発されて以来、急速に悪化している。

 ロシア正教は年の第1週にクリスマスを祝うが、役人の殆どは通常、01/01〜10の休日に先立って前の週に休みを取る。従ってジャイシャンカールが面会を予定していた人々は、何時もの様な仕事納めをせずに、彼を出迎える為にわざわざ待っていたことになる。つまり今回のモスクワ訪問が年明けを待たずに年内に行われたと云うことは、異例の緊急性を持っていたことを示唆している。

 彼の訪問の目的は地政学的バランス調整だった。彼は赤の広場到着の数時間後に、正にそのテーマについて話し合ったとツイートしているので、これは勝手な憶測ではない。彼自身の言葉では:

 「ロシアの戦略コミュニティの主要な代表者とのオープンで前向きな交流。

 リバランスの重要性と多極性の台頭についての会談。

 その枠組みの中で印露関係がどの様に発展して行くかについて意見交換。 接続性、多国間主義、大国間の競争、地域紛争についても議論。

 地政学と戦略的収束により、インドとロシアの関係は常に前向きな軌道に保たれる。」


 今回の訪問が1月中旬まで待てなかったのは恐らく、これはワシントンが12/13にパキスタンのアシム・ムニル陸軍司令官を迎えたことに対する反応であると、インドが米国に解釈して貰いたかったからだ。


 ムニルは大統領と副大統領を除く米国の高官全員と会談した。印米関係が険悪になっている正にその最中にこうした訪問が行われたことを、インドは、パキスタンと米国の関係が本格的に再開したことの証として解釈したことだろう。

 しかもパキスタンは5月以降、事実上の戒厳令を敷いている。米国のメディアは、インドの「権威主義的傾向」について(実際にはより民主主義的になっている)非難する癖に、パキスタンの本物の権威主義的傾向には見て見ぬフリをしている。これはインドにとっては侮辱に他ならない。

 従ってインドとしては、米国に対して強力な外交的対応を取ることが必要だった。外相の今回のモスクワ訪問が急がれたのはそうした理由からだ。

 インドは明らかに米国との問題を考慮して、地政学的なバランスを再調整しようとしている。インドは来年に掛けて印米関係が悪化するだろうと予測しているので、外相訪問が年明けまで待ち切れなかったのだ。
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川流桃桜

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一介の反帝国主義者。
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